つまらない理由2006/07/17 13:57

クラリスワークスと言う時代遅れのソフトで作成。昔は、情報技術が未発達なので、この様な妙な事にならず、のびのびと趣味を楽しんでいたような気がする。

私は色々と趣味を持っているが、最近の10~15年間は、正直言って何をやっても以前程の面白さがなくなった。

その理由として趣味の世界も「格差社会」になっている事が影響している。メディアの発達で、文化・情報の伝達が従来のメインカルチャー中心からサブカルチャーにまで及ぶ様になった事が考えられる。

ここで言うサブカルチャーは、所謂、プロフェッショナルによってクリエイトされる文化アイテムとは異なり、本来は、アマチュアの主体的行為によってクリエイトされていた文化と定義づける。

今から15年前には、宮崎勤事件等のショッキングな事件が報道された。世紀末と言ってしまえばそれまでであるが、サブカルチャーが犯罪行為として、メディアによって伝達される用になった事の衝撃の方が大きい。

この事件を契機に「オタク」と言う言葉が現れ、サブカルチャーが肯定的な意味でもメディアに取り上げられる様になった。

この結果、サブカルチャーの一部が、メインカルチャーナイズされてしまう事となった。コッソリとした楽しみが、「オタク」と言うプロフェッショナルアマチュアが頂点に立つ、サブカルチャーの階層化が進んだ。


もはや趣味の世界は趣味でなくなったのである。

本来は、個人の絶対的な価値観が階層化されたサブカルチャーの影響を受けて、相対化されてしまい、「評価」と言う事が行われる様になる。

趣味の世界では、切手展等は、その古くからの例であるが、ありとあらゆる趣味が、組織的にその階層的評価の達成度について競われる様になってしまった。

個人の楽しみとしての趣味・サブカルチャーが階層的評価の対象となった事で、仕事や社会的ステータスと何ら変わらなくなった。

階層化された結果、役割分化と言う現象が生じる様になった。つまり、趣味のマニュアル化である。自分で方法を編み出すのではなくてマニュアルに従って行動した方が、達成度が高いと言う事である。

更にこうしたシステムがコマーシャリズムに乗り、ネットワークインフラ、マニュアル本の発行、スクール等が運営されていく事になる。

具体例を挙げるならば、真空管アンプでは、各種の実体回路図が付属し、更にシャーシーの加工、部品が全て揃ったキットと言う事になる。「真空管アンプの権威・・・さん設計の名機」が、簡単に組みあげられる事になる。


これらの商品にささやかな楽しみが残されているとすれば、それは、「改造」と言った様な些細な部分である。直ぐに飽きるので、何度も買い換える事になり、こうした産業が潤っている。

創造的な部分は、階層の頂点に立つプロフェッショナルアマチュアに握られてしまって、一般人は、その指示に従って作業する以外にない。

「この世に一つしかない貴方だけのもの」が出来上がる筈が、実際には、同じ様な「商品」を他のアマチュアが作っているだけ。

更に、この様なセミアマチュア対象の商品についての知識を交換するネットまで存在する。楽しみの質は変質しており、ネットワークコミュニケーションの楽しみが中心になってしまっている。

ブログなど、その代表であり、お仕着せの表現フォーマットに身を委ねている倦怠感を感じているのは、私だけなのだろうか。

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