洛中洛外図で遊ぼう2007/06/29 00:04

現在の船岡山と洛中洛外図の同じ場所の風景
 仏教芸術コースのスクーリングの中で、洛中洛外図を扱った講座があり、現在、受講中。洛中洛外図屏風は、我が佛教大学にもあるが、これは、江戸時代に作られたもの。
 現存最古のものは、歴史博物館に重要文化財品が所蔵されており、こちらは、16世紀前半で桃山風と言うよりも室町時代の面影を伝えている。
 その詳細はデジタルアーカイブスで鑑賞する事が出来る。
http://www.rekihaku.ac.jp/gallery/rakutyuu/left5.html
 
 授業では、上杉本を中心に学ぶ。織田信長が上杉謙信に贈ったものと言われる。こちらは、桃山時代の風景が描かれる。
 江戸時代のものは、二条城が描かれている事に特長がある。
 どちらも六曲一双の屏風で右隻には東山の風景が、左隻には、洛西の風景が衣笠山から嵐山にかけての展望が描かれている。
 つまり、右隻を右側(東側)、左隻を左側(西側)に対に屏風を立てて真ん中に入って見渡せば、洛中の風景を360度展望する事が出来る。授業で配られたプリントには、真ん中に上杉謙信が座っている様子が描かれている。
 つまり、パノラマ風景によるバーチャルリアリティを味わう事が出来る。
 今のGoogleEarthと同じ事を450年前に実現していた訳だ。屏風は大きいので、非常に細かな風景が西洋風の透視遠近法とは異なった独自の接近画法で描かれている。それぞれの風景の区画は、金雲によって雲間から見た俯瞰図の見立てをとる事によって成り立っている。
 図は、佛大付近の船岡山の風景をGoogleEarth(高低差3倍強調)と歴史博物館甲本の洛中洛外図の同じ場所の風景を比べている。
 大和絵の吹き抜け屋台の方法が風景画にも応用されている。
 洛中図は、その後は、江戸時代には庶民化し、様々な都絵づくしが出版されるが、江戸時代のものは、それなりに写実的な遠近的な描画法をとっているが、この屏風は、むしろ、鳥が地上の風景を見つけて愉しむ様に俯瞰的雄大さとのぞき見的好奇心を満足させる為に描かれている。