いわば、総金属製のEOSのようなもんだ2008/12/04 09:31

IXYDIGITAL70で撮影。
 イカロス出版(2008年11月刊、税込み1500円)、この本は、1998年に出版されたものの、増補改訂版。
 O系がなくなるので、急遽、出版された。面白いのは、O系がなくなるのは、21世紀早々と予想されていたが、実際には、それから8年程、生き延びたということ。
 衝動買いした理由は、右の見開きページの前照灯と、空調吹き出し口の写真が買いたい心を直撃した。
 0系の模型やオモチャ等で育って来たが、この前照灯の赤・オレンジの色と白いフェース、青いスカートは、最高の取り合わせだと思う。新鋭機では、レールスター等素晴らしい車両もあるが、この優雅なデザインには及ばない。
 この新幹線が走り出した頃には、国内旅客航空便は、当然、プロペラ機であり、しかも、YS11も完成しておらず、バイカウントという飛行機がメインであった。
 イギリスビッカース社の航空機で、ターボプロップ機。低空の視界が良いので、これで羽田に到着する時には、当時、未だ帆走していた帆掛け船の漁船等をみながら、着陸態勢に入るのが見えた。
 国産機の開発技術が無い時代にこれだけの工業製品を開発することが出来たのは、奇跡だと思う。
 特に見開きの中央部の空調吹き出し口の写真であるが、「金属製でノスタルジーを誘う」とあるが、当時は、こういった方法での車両空調ダクト設計自体が斬新であり、今でも新素材ではあるが、空調システムは、この技術が踏襲されている。
 内装パネルは、全て金属製だが、現在の様な組み合わせの技術はなかったので、全てビス止めであった。そのビス1本にしても新幹線専用のものが新開発された。
 また、車両外装に使用された沈頭ビョウは、零戦等、戦前の日本開発の航空機の技術が応用されている。
 座席以外の内装は全て総金属製。
 さぞかし重たい車両だったと思う。のぞみ等に乗車してトンネルを通過すると、空気圧で車両が変形しているのを壁際の席では感じられるが、この車両は、しっかりしている。
 座席は非常に狭くて、これで東京まで3時間強の乗車はつらいものがあったが、新幹線の基本システムは、44年前に既に完成していたと言っても過言ではない。
 凄いのは、従来の車両開発は、車両独自の性能を考慮して設計されるが、0系では、新幹線という交通システムを新たに創造するという観点から、総合システムとして設計された点である。
 全て40年後を予見した工業製品と言える。いうならば、現在、合成樹脂製のEOS一眼レフが金属カメラの時代に総金属製で技術を結集して作り上げられたようなもんだと思う。

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