U小判は、明治16年以降に発行されるので、当時の封書に貼られている筈がない。2009/11/30 10:15

『坂の上の雲』をみた。

 時代考証等がどの様にされているのかが、専らの興味であったが、少し気になったところも。

 時代が、明治初年というのだが、巡査の服装が奇妙である。また、当時のイギリス製巡洋艦が出てきたが、どうみても高圧蒸気機関を搭載したタービン船であり、この時代には登場しない。

 砲もあんなものは当時はなかった。

 東京から郵便(封書)が送られてくるが、当時の封書には、あんな消印は押されていない。ボタ印もなく、検査済印(細長い四角の奴)

 更に笑止千万であったのは、少年時代の主人公が受け取る封書には、赤2(U小判切手)が封書に貼られていた。U小判は、明治16年以降に発行されるので、当時の封書に貼られている筈がない。

 当時は、手彫り切手の時代で龍銭切手が終わり、洋紙桜切手の時代である。

 私の切手コレクションの中では、この時代は収集が薄いが、上の写真の上段が最初に発行された龍文切手で、その下段が、今回の撮影された封書に貼付されているべき桜切手(和桜だが)

 当時は、近代的な整版技術もなくて、銅原盤に彫刻師が1枚1枚彫り込んでいた。

 下の写真が、今回、間違って使われていた小判切手で、最上段の右から2枚目で赤2と呼ばれるもので、真ん丸のボタ印が押されている。

 この時代以降、イタリアのキヨソネという人が招聘されて、技術を学んで、近代印刷技法、目打ち(切り離し用のギザギザ)が確立された。

 明治時代、郵便制度は、我が国初のユニバーサル制度であり、近代化を考える上で避けることが出来ない制度改革であった。

 もっとちゃんと考証してもらいたかった。