この家にとっては、最高の「栄誉勲章」2009/12/19 22:57

 昨日から、ボロ家の1階を中心に掃除をしていた。

 昨日、今日と、滅茶苦茶寒い。コロナファンヒーターの温度センサーでみると室温が零度ということで、息が白くなる。

 外に出てみると零度以下の様で、顔がシバレル感じで、特に耳が痛む。耳が痛む程の寒さを下界では、最近10年間ほどは経験していなかった。唯一、登山で富士山の8合目以降、あるいは乗鞍で雨に降られた時、木曽駒ヶ岳の稜線をアイゼンを履いてあるいた時位のもの。。

 マジでここに住むのが嫌になった。「恐い程の寒さ」である。不動産契約時に売り主さんが、「室内でも水道管の凍結・破裂に注意してください。」とか言われたのを冗談で聞き流していたが、本当のようだ。

 ところで、この家の玄関とか2階ポーチの踊り場のフローリングは、合板だが、内壁は、和室は、国産ムク材、一階の玄関ホールから階段にかけては、外国産の木材であるが、こちらもムク材が使用されている。

 1階の汚れが酷い。壁等にガムテープとかシールの後等を総て薬品や良くガム等を駅で剥がす作業に使用されている金具等で丁寧に剥がしていくと、綺麗な木目が現れた。

 汚れと取り除いた後で、古い家具を手入れするのに使う特殊な天然素材の磨き液(植物油・油っぽい)で
磨いていくと、内壁はピカピカになったが、少し、喫茶店みたいだ。

 壁をみていくと、この家の歴史を語る「勲章」を発見した。

 もし、家というものに魂や心があるのならば、これは、まさに「栄誉勲章」だろう。

 この家のお子さんの身長をおそらくお父さんが平成15年5月の子供の日から毎年記録し続けている。最後が平成18年5月で、その成長ぶりには驚かされる。

 この「家」はすこし、乱暴というか乱雑・無神経に管理されていて、給湯器の様な気味が悪い点もあるが、様々な困難を乗り越えて、この家にいたお子さんの成長を見守ってきたという、家としては、もっとも重要な役割を、一生懸命、老骨に鞭打って果たしてきたのだと思う。

 私にとっては、これは、落書きであるが、なんとなく、これを消去するには気がためらわれる。

 私は、この家に1人で棲むのだ。
 
 この家にとっては、不幸の始まりだと思う。

 そこには、この家の中にかつて響いていた幸せの声はない。

 ジッと晩年を迎える愚かで、もはや、未来など残されていない貧乏な中高年男の終の棲家になる運命にあるのだ。