終の棲家に引っ越しました ― 2009/12/25 14:18

今年の5月に収友のIさんから転宅のお葉書が届いた。郊外の一軒家から東京都心の高層住宅に転居されるということだった。
葉書の表には、可翁筆 寒山図の切手が貼られていた。
転居の挨拶としては、何か深い意味がある様な気がしたが、少し、不吉な感じがしたのも事実。
文面には、「終の棲家に引っ越しました。」とあった。
この「終の棲家」というフレーズに引っかかったのだった。
その後、表の寒山図の切手をみながら色々と考えた。
大体、可翁については、作品が残るのみでどんな人物なのか全く不明。14世紀の人で、可翁宗然と同人とする説もあるが、それも実証されていない。
ちょうど、家を買おうかと考えていたところにこの様な転宅葉書が届いたので、「どうして田舎の、のどやかな生活を捨てて都心に移るのか。」等と考えていた。
その後、私もボロ家の購入をめぐって頭がいっぱいになって、この様な出来事を忘れていたが、今月の初めのころか、このIさんがなくなったと奥さんからの年賀遠慮の挨拶の葉書が届いた。
もともとお身体加減が悪かったらしいが、生活環境に激変の身体に与える影響は大きい。
絵描きであった祖父も小豆島のアトリエから今の川西の実家に移り住み、新しい生活に慣れる間もなく、肺炎で急逝した。
祖父も引っ越さなければ、米寿位までは生きて、自分なりに納得が行く作品を少なくとも数枚は余分に残していたかもしれない。
この方も引っ越さずに、今までの生活を保っておれば、今なお、生活を楽しむことが出来ているかも知れない。
この世に生きている私たちじしんが、「仮の棲家」なのであるので、「終の棲家」を求めることは、実に空しく、一旦、無常の風が吹けば、塵のごとくはかなく消え去ってしまう運命なんだと思った。
ご冥福をお祈り申し上げます。
葉書の表には、可翁筆 寒山図の切手が貼られていた。
転居の挨拶としては、何か深い意味がある様な気がしたが、少し、不吉な感じがしたのも事実。
文面には、「終の棲家に引っ越しました。」とあった。
この「終の棲家」というフレーズに引っかかったのだった。
その後、表の寒山図の切手をみながら色々と考えた。
大体、可翁については、作品が残るのみでどんな人物なのか全く不明。14世紀の人で、可翁宗然と同人とする説もあるが、それも実証されていない。
ちょうど、家を買おうかと考えていたところにこの様な転宅葉書が届いたので、「どうして田舎の、のどやかな生活を捨てて都心に移るのか。」等と考えていた。
その後、私もボロ家の購入をめぐって頭がいっぱいになって、この様な出来事を忘れていたが、今月の初めのころか、このIさんがなくなったと奥さんからの年賀遠慮の挨拶の葉書が届いた。
もともとお身体加減が悪かったらしいが、生活環境に激変の身体に与える影響は大きい。
絵描きであった祖父も小豆島のアトリエから今の川西の実家に移り住み、新しい生活に慣れる間もなく、肺炎で急逝した。
祖父も引っ越さなければ、米寿位までは生きて、自分なりに納得が行く作品を少なくとも数枚は余分に残していたかもしれない。
この方も引っ越さずに、今までの生活を保っておれば、今なお、生活を楽しむことが出来ているかも知れない。
この世に生きている私たちじしんが、「仮の棲家」なのであるので、「終の棲家」を求めることは、実に空しく、一旦、無常の風が吹けば、塵のごとくはかなく消え去ってしまう運命なんだと思った。
ご冥福をお祈り申し上げます。
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