なるほど、似たような趣味の先生なんだ2010/05/06 20:59

 5月に入ってお尻の病気がまた悪化。

 膿んで夜中でも痛いので、ついに医者へ。

 以前は、池田市の某クリニックでみてもらっていて、このお医者さんは、名医だけど、やはり、神戸市北区から池田まで、通院は大変。特に手術等をしたら悲惨なことになる。

 そこでネットで検索して、元町駅近くの某クリニックへ。

 「初診でーーす。」ということで待合いに入ると、いきなりバッハのカンタータが流れている。」

 初診のアンケート等を書き終わって、時間が余って本棚をみると、レコード芸術5月号が、あったので思わず手にとって読んでいた。

 最近のクラシック音楽のアーティストはティーレマン以外は興味がないので、この雑誌を買っていなかったで、「今は、こんな風になっとんのか」と読んでいると、ニコニコしながら先生が現れた。

 若い先生だ。
 なるほど、似たような趣味の先生なんだと思った。

 お尻は、抗生物質の塗り薬を処方されたが、治らなかったら、切開されるという。

 代金の支払いをしながら、受付のテーブルには、このビラが。

 「先生、これに出演されるんですよ。」ということで、芦屋交響楽団の団員さんだったのだ。自分も芦響に大学時代の知り合いがいることを話すと、このビラを渡された。

 神戸市の医院は、医師会かなんかの協定で、木曜日の午後は休診ということになっているが、この先生は、土日の練習時間を確保する為に月~金まで診察日で、土日、祝日は休まれている。

 こういった点で神戸というのは、なかなかおもしろい町だ。仕事の知り合いで生田に住んでいる人は、オペラ(当然、端役の後ろで歌っている人たち)をやっているし、そういった地域なので、ウマが合いそう。


 コンサートは、シンフォニーホールで、シューマンの交響曲第2番という渋い曲をやる。シューマンが頭がおかしくなってから作曲したので、第2楽章なんか、分裂症の人が幻聴を聴くようなフレーズが聞こえてくる。

 大好きだった、ジョゼッペ・シノーポリが、この曲を丁寧に精神科医領域のアナライズをして聴かせてくれたし、バーンシュタインが最晩年にユースオーケストラを指揮したとき、どうゆう訳かこの曲だった。

 今年は、シューマンとショパンの生誕200年祭なので、中期ロマンの傑作の演奏会が聞けそう。ショパンは、ラ・フォルジュルネとかそういうので、やられるが、シューマンのピアノ曲を本格的に引けるひとはいないと思う。

 個人的には、完全におかしくなったシューマンが、ヨハヒムに捧げたヴァイオリン協奏曲イ短調が大好き。第1楽章は妙にまじめなのに、最後のロンド楽章は、ヒラヒラと方向感が定まらず、どこに行くのかわからない様な曲。

 どうゆうわけか、この曲、シェリングが録音しているが、名演だ。

 シューマンの甘ーーいピアノ協奏曲は、あんまり好きではない。
 ショパンのピアノ協奏曲は、さすがにツィメルマンの指揮と演奏のCDは関心したが、これもやりすぎ。人工甘味料の固まり、昔、幼いときにチクロという甘味料があったが、あの毒性に似ている。

 ショパンは、やっぱ、あの葬送行進曲があるピアノソナタ第2番が秀作だろう。ユーゴスラビアのチトー大統領の葬儀のテレビ中継で、この曲が流れた時、1つの時代が終わったと思った。その後、バルカンの内乱の悲惨さの始まりの葬送行進曲だった。

 でも、このソナタの何よりも、すごいのは、わずか数十小節の終楽章で、これは、完全に調性を逸脱して、シェーンベルクのセリーの様に主題が螺旋の様にもつれ合って変化して、最後に静止して、思い出したかの様に主和音が、ガーンと鳴り響いて終わる。

 大昔のルービンシュタインの演奏をピアノロールで聴いた時、本当に感動した。ピアノロールで、ブラームスやマーラーの演奏とかも聴いたが、速い曲は苦手で、この終楽章もテープの遅回しの様に聞こえたことを記憶している。