自動搬送式納骨堂2010/08/06 13:15

 「真宗王国」福井のお寺さんが倒産した。
  負債は、3億3千万円

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(宗)永宮寺(あわら市市姫2-26-8、設立昭和28年6月、太子堂正悟代表)は7月26日、福井地裁から破産手続開始決定を受けた。 負債総額は申請時点で債権者34名に対して3億3874万円。
 浄土真宗東本願寺派の寺院で、平成17年11月にあわら市細呂木で西日本では初となる自動搬送式納骨堂「はちす陵苑」を開設。しかし、契約数が伸びなかったため同施設の建設資金が負担となり寺院の経営を圧迫。平成19年1月には、その施設の施工業者より施設不動産が差押えられ、福井地裁から不動産担保競売開始決定を受けていた。
 その後も業況が改善しなかったため、今年3月11日、債権者から同地裁へ破産を申し立てられていた。
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 この倒産って、結構、話題なのか、倒産関連のネットにも掲載されている。檀家管理さえしっかりして、コスト削減を怠らなければ、デフレスパイラルの世の中で、こんなに安定度の高い業種はないと思われるが、このお寺は、残念ながら多額の設備投資を行い、それが不動産関連になるので、資産の固定化、流動資産が不足、資金繰りに難儀し、経営が圧迫された。

 一番の投資が、「自動搬送式納骨堂」という設備である。これは、文字通り、檀家の骨壺がユニット単位で管理されて、データベース化されており、要請に応じて引き出されてきて、お参り出来るという、平成14年に特許出願された最新設備。

 この装置を導入すると、より多くの納骨を受けることが出来て、それは、お参りする人の人数増にもつながり経営的にも好転すると考えていたようだ。

 しかし、この様な自動式設備は顧客の回転数がポイントになるが、年間2~3回位しか、お参りされないのが大部分の寺院には、あまりに大きな設備投資だったようだ。

 倒産のお陰で、「永代供養」はおろか、僅か2~3年で納骨堂は、競売物件となり、ここにお骨を預けている人達は途方にくれている。

http://www.ekou-p.co.jp/product.html

 最近は、お寺等宗教施設で、最近のハイテク設備の導入が活発化している。「セレモニー産業」としての考え方だが、セレモニー・儀式は、その永続性がポイントになる。

 佛大でも、お坊さんになる人達に、IT関連の技術を最近では、伝授されているらしいが、この様な問題点も教わっているのだろうか。

 諸行無常の世の倣い背き、多額の資材・資金を投入してご先祖様をお祭りしても、それは、無常の風の前の塵と同様だ。

 資産はやがて失われるし、資材はやがて老朽・陳腐化する。

 それにしてもお盆に相応しい夏の倒産劇だ。

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