俳句的に表現されている和歌の特色2011/01/03 09:57

 お正月なので、百人一首の和歌の中で、上の句のみで、俳句になりそうなのを選ってみた。すると、次の24句となった。

 全体の2割強が上の句だけで、季語を備え、単独で意味をなすことが出来る。この様な和歌の上の句の特色として、「に」、「は」、「ば」という接続助詞を伴うことで、これで、下の句につながっていくので、俳句として考えると少し違和感がありそう。

 また、⑤は、竜田川=紅葉ということで、秋の句ととったが、果たして、是非はどうだろうか。

 この様に上の句が俳句的に表現されている和歌の特色としては、上の句で、情景・状況を表現して、下の句で自分の心境や境遇を詠むという方法。すなわち、「場景の中の自分」を読んでいるという、「場面表現的」な和歌が多い。

 例えば、源氏物語の出てくる和歌の大部分が、上の句だけで、場景・状況を表現している作品の割合が、詳しく調べてはいないが、通常の和歌集に比べて多い。つまり、「場面表現」の一部として、和歌が大きな役割を果たしているのだと思われる。

 この様な和歌の表現形式が何時の時代から活発になったのか等、調べてみるとかなり面白いと思う。

 俳句的にみれば、⑨などは、素晴らしくて、現代俳句にもそのままつながる表現だと思う。

①あきのたに かりほのいおの とまあらみ
②おくやまに もみじふみわけ なくしかの(よ)
③はなのいろは うつりにけりな いたずら(に)
④きみがため はるののにいでて わかなつむ
⑤ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ
⑥いまこむと いひしばかりの ながつきの
⑦ふくからに あきのくさきの しをるれば
⑧つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ
⑨やまざとは ふゆのさびしさ まさりける
⑩こころあてに おらばやおらむ はつしもの
⑪あさぼらけ ありあけのつき(と) みるまで(に)
⑫ひさかたの ひかりのどけき はるのひ(に)
⑬なつのよは まだよひながら あけぬるを
⑭しらつゆに かぜのふきしく あきのの(は)
⑮やえむぐら しげれるやどの さびしき(に)
⑯いにしへの ならのみやこの やえざくら
⑰もろともに あはれとおもへ やまざくら
⑱はるのよの ゆめばかりなる たまくら(に)
⑲たかさごの おのえのさくら さきにけり
⑳あわじしま かよふちどりの なくこえ(に)
21ほととぎす なきつるかたを ながむれ(ば)
22なげけとて つきやはものを おもはする
23みよしのの やまのあきかぜ さよふけて
24かぜそよぐ ならのおがわの ゆうぐれ(は)

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