こんなにアマテラスが生き生きと描かれている本は少ないのでは2011/01/22 21:01

『アマテラス』を今日、読み終えた。
http://fry.asablo.jp/blog/2011/01/20/5642361

内容的には面白い。古代のアマテラス像よりも、平安時代から中世以降については、面白く、源氏物語や更級日記から引用等も、なるほどと感じさせられた。

「霊感少女」 菅原孝標女に現れたアマテラスの影向は、どんなものであったのか。また、彼女がみた内侍司の語り部の老女房の雰囲気描写等も見事である。各時代の「アマテラス」がパノラマ的に描かれており、斉藤先生の文章力・表現力が凄いので、つい引き込まれてしまう。

こんなにアマテラスが生き生きと描かれている本は少ないのではと思った。

近代以降のアマテラスについては、大嘗祭や平成の即位大礼等について書かれているが、皇国史観とアマテラスの関わりについて、更に論じて欲しかった。

また、疑問もある。

4世紀頃に、宮廷から伊勢にアマテラスを移し祀る由来の記事で、人民に流行病等の多くの災いが起こり、それがアマテラスの祟りだとしたが、平安朝以降のアマテラスの祟りは、帝、自身に祟っていくので、祟りの性格が変わっていると思うのだが、どうして、そんな風に変化したのだろうか。

最後に誤字・誤植が見あたらなかったのは、感心。最近では、学術論文でさえ、誤字・脱字が多くみつかるので、念入りの校正がされているのだろう。

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