林原美術館が危機か2011/02/07 10:36

林原美術館が危機か

岡山の名門企業(株)林原が会社更生法の適用を申請した。
これにより、同社グループのメセナ事業である林原美術館が危機的な状況になっていると思われる。
この美術館には、多くの名宝が収蔵されている。

特に、平家物語絵巻は、各社の平家物語本(例えば、『平家物語図鑑』(小学館)等にも壇ノ浦合戦の部分や一ノ谷合戦が引用されている程、貴重な資料であり、近世期の成立の資料とはいってもこれ以外に匹敵する図像資料は、存在していない。

この他にも岡山の池田家所縁の名宝、装束、文献等多々収蔵されており、これらの貴重な美術資料が資産整理等で各地に分散した場合には、目も当てられない様な状況が予想される。


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(株)林原(岡山市北区下石井1-2-3、設立昭和7年7月、資本金1億円、林原健社長)と関連会社の(株)林原生物化学研究所(同所、設立昭和45年9月、資本金5000万円、同代表、従業員255名)、(株)林原商事(同所、設立昭和37年4月、資本金1000万円、同代表、従業員100名)は2月2日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。
2月2日、東京で金融機関向けの債権者集会を開き、事業再生ADR手続(裁判外紛争解決手続)による再建を断念することを明らかにしていた。負債総額は林原が1277億円、林原生物化学研究所が636億800万円、林原商事が368億4600万円で3社の合計2281億5400万円(グループ間取引を含む)。岡山県内では過去最大の大型倒産となる。
 関係人説明会を2月5日(土)午後2時より岡山市立市民文化ホール(岡山市中区)で開催予定。(株)林原は、麦芽水飴製造業として創業。その後、酵素を利用した機能性糖質を主力とする食品原料メーカーとして研究開発型の独自路線を歩み、全国有数のバイオ関連企業に成長。主力のトレハロースなど機能性糖質の研究から用途を拡大し、菓子・製パン・化粧品業界から医薬品、健康食品等幅広い分野に需要を広げ、高額所得法人の常連として高収益を上げていた。また、林原生物化学研究所、林原商事、太陽殖産を中心にコアグループを形成。微生物・酵素・生命化学・感光色素・バイオ関連などの研究開発を進め、インターフェロンや人工甘味料、バイオ製品などを海外法人を含めたマネジメントグループを通じ供給していた。さらに、林原美術館などメセナ事業にも積極的に取り組んできた。しかし、研究開発費用が負担になる一方、本業の業績も伸び悩み、多額の借入金が経営を圧迫し借入に依存した無理な経営が続いていた。このため、関連子会社をM&Aにより相次いで売却するとともに、平成21年6月にはトレハロース専用工場を建設、本業に注力することで業績回復を目指し、平成22年10月期は年商約281億1300万円(林原単体)を計上していた。

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