過去から現在に至る時間の経過が絵と経典とが同調して連続的に示されている点が画期的2009/12/08 23:16

 今日は、お釈迦様が悟りを開かれた日なので、久しぶりに絵因果経等を開く。

この場面が一番、気に入っている。

悪魔を退けられて悟りを得られる場面である。(降魔成道)
この辺り、イエスの生涯にも似ていないことはない。

 背景の区切りに奇妙な形をした山塊が描かれているのが実に面白い。例えば、源氏物語絵巻の関屋等の構図を比較してみれば良い。なにか、こちらの方が、時空を超越した色々な出来事が起こっている様な気がして、漫画をみる様な面白さがある。

 この絵因果経は、上品蓮臺寺本で奈良時代に日本に伝えられた絵巻であり、日本の絵巻物の元祖ともいうべきものである。

 厳密に言えば、物語絵巻等とは、本質的に異なったもので、釈迦の生涯を描いた場面の下に相当する経典が配置されており、日本の平安時代の絵巻ものが詞書と絵画部分が分離しているのに比べて、より、シーケンシャルなのである。

 つまり、過去から現在に至る時間の経過が絵と経典とが同調して連続的に示されている点が画期的である。

 佛教大学の仏教芸術コースでこの絵巻を取りあげようと思ったが、途中で断念してしまった。

 そうして、今は、釈迦の悟りの世界から益々遠ざかろうとしており、なんの為に、佛教大学に通ったのか判らなくなっている。

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