薦田さんの種畜牧場2010/07/18 10:48

 宮崎県高鍋町の薦田長久さんの種牛6頭の処分が実施された。牛の首に大切につけられていたお守りが外され、無惨にも処分された牛とともに、葬られたという。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20100518-296281/news/20100717-OYT1T00774.htm

 今回の民主党政府の宮崎県の肉牛生産者への仕打ちは、残虐でもあり、同時に1世紀近く続いてきた日本国内の和牛生産の誇りをも打ち砕くものであり、自国の文化に唾する所業に他ならない。

 日本の和牛生産の歴史を自分なりに簡単にまとめてみると、

 江戸時代までは、仏教の影響で、牛肉を食べることは、禁忌とされてきたが、彦根藩では、と畜が許可されているし、「スキ」焼きと称して、屋外でこっそり食べられていたようだ。

 また、中国地区を中心に砂鉄や木炭、塩等を運搬する牛は、用途に応じて改良が加えられて、系統交配や近親交配等、メンデル法則発見以前の時代に、既に、いくつかの系統の牛が作られており、それが、蔓(ツル)と呼ばれてきた。

 明治期に入って、これらの蔓に外国種を交配して、肉用牛として改良された。しかし、一方で、山口県見島には、これらの外国系統の影響を全く受けていない牛が現在、100頭前後飼育されており、天然記念物指定を受けている。

 外国種との交配で改良された肉専用種として、黒毛和種と呼ばれている。特に脂肪交雑は世界最高水準となっており、外国からも注目されている。

肉用牛の歴史
http://www.nbafa.or.jp/mame/izen.html


系統別種雄牛一覧
http://liaj.lin.gr.jp/japanese/newbeef/directory/keitou.pdf

 宮崎牛とは、以下の全ての条件を満たした牛肉が宮崎牛と呼称される。

品種     黒毛和種
地理的表示  宮崎県内で生産肥育
格付け    日本食肉格付協会の格付基準の肉質等級4等級以上。

 すなわち、特定の品種のことを指しているのでは無いが、格付4等級以上の黒毛和牛となれば、結果的に系統牛ということになってくる。

 第9回全国和牛能力共進会鳥取大会の宮崎牛関連の入賞結果をみると、
 種牛の中で、系統雌牛では、ふくみつ、たかひめ、ちよひら、ゆりふくが一席を獲得しているし、奥日向、かみさつき、あけみ、まみ、かみつる等が優秀な成績をおさめている。

 高鍋町の薦田さんの種畜牧場では、勝安平*安平の交配で、高い肉質と増体性を示す優秀な品種の種牛が飼われていた。
 常に優秀な品種を目指して、宮崎県では、若手も加わり、繁殖農家5人組の勉強会を開催している。
 http://pksp.jp/yuyu-miyazaki/

 今回の国家の強制による種牛処分は、これらの江戸時代から続いてきた和牛の歴史、そして、明治以降から脈々と続いている黒毛和牛、系統牛の維持と改良の生産者の努力を踏みにじるものであったと思う。

 以外にも、今回の種牛処分への反響は、小さいが、それは、国民世論の無知、無理解によるものである。

 世界に冠たる黒毛和種の系統の重要性、そして、これらが一度、失われたら、復旧には、再び数十年、1世紀近くの歳月が必要であるという事実を一般世論に理解してもらう為にPR活動が十分に行われてこなかったことも大きい。

 マスコミの取り扱い方も民主党政治への批判はまだしも、国家の強制よる地方の犠牲とか、農民の弱い立場とかそういった面での報道はされても貴重な「文化遺産としての和牛」という側面の報道が欠如していたとおもう。一方、ニューヨークタイムズやロイター等の海外メディアでは、民主党の農業政策の失敗とかそういった点よりも、「タネウシ」というのがどういったものか、日本国民の食文化にどの様な役割を果たしてきたものか、それらが失われることは、どの様な結果をもたらすのか、日本の報道よりも、客観的で正しい分析が出来ていたと思われる。

今度は、大連で石油パイプライン爆発 日本にも汚染及ぶか2010/07/18 19:53

今度は、大連で石油パイプライン爆発 日本にも汚染及ぶか

18日付の新華社通信によると、今度は大連で石油パイプラインが爆発したことが報道されている。海洋汚染の範囲は、50平方キロに及んでいる。現在、事故処理を行っているが、日本近海まで汚染が及び、漁業等への影響が懸念される。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0718&f=national_0718_040.shtml

アメリカの様な国でもパイプライン事故でようやく石油流出が止まったものの、破壊された海洋環境の修復の目処が立っていない状況。

ましてや中国の様な発展途上国の場合は、ほったらかしになるだろう。

もう、石油に依存する文明は、人類にとって無理なのかもしれない。