「悪い時代=21世紀的選民ならぬ賤民人生」(一部訂正)2009/10/14 23:02

  私は、時代を先取りして「悪い時代=21世紀的選民ならぬ賤民人生」を歩んできた。

 ニートの最も、高年齢世代が40台前半と言われているが、私は、40台後半でパラサイターをしており、ニート、フリーター、派遣等の転落を数多く経験してきた。

 派遣もFワークという会社などは、1980年頃から法律で禁止されている工場派遣労働を請け負って来たが、今や、それは合法化されている。

 今、一番、問題になっているのは、若者に住宅がないことである。

 写真は、ビッグイシュー10月15日号(128号)の記事であるが、賃貸住宅が有り余っているというのに住宅を借りられない若年層が大勢おり、安心して眠れる居住スペースもないままにクタクタになるまで働いて社会の根っこの部分を支えている低賃金労働者の現実がある。

 現代のプロレタリアアートは、戦前のそれよりもずっと貧困である。
 再生産活動が許されないからである。

戦前の下層社会は、セーフティネットワークを含めて、イギリス資本主義的な企業・啓蒙的福祉思想、あるいは、日本伝統社会に根ざしてきた貧困者救済のシステムが行政の手を借りずとも存在していたからである。つまり、それぞれの階層なりに再生産が可能であった。

 ところが、ブラックバス(資本家)が池の魚(貧者)を食べ尽くしてしまうような21世紀アメリカ型資本主義社会では、低所得者は、賃貸住宅の家賃も払えないので、社会の支援を受けられないままニート→パラサイト→ホームレスの道を歩み以外にない。

 こうした逆境にもかかわらず、勇気を出して、社会に飛び出していった若者を待っている現実は、若者に借りられる様な低所得者向け住宅もないホームレス人生である。

 レオパレス等をみても家賃は、5~6万円もする。最近では、建築基準法の改悪や規制の強化で、木賃アパートや文化住宅が関西圏でも姿を消しており、風呂付きの賃貸を都市圏では、年収200万円そこそこの生活では借りることが出来ない。

 UR賃貸や公団は、国民に安価な住宅を供給するということを目的としていながらも、所得制限とか、正社員が条件とか、富裕層以外の単身者には、これらの住宅を借りることが出来ない仕組みを作っている。

 これは、やがて年金生活に入る中高年層、私を含めて低所得労働者も同様で、年金収入では、現在の賃貸住宅の家賃を支払うことは難しい。

 だから、私の場合は、安定収入が期待出来る最後の10~15年間でローンを組んで、最低ランクの一戸建てを買おうとしているのに、周囲の目は批判的というよりも、差別的でありさえする。

 今、賃貸住宅に居住して、子供を育て、安定した老後を送れると確信している人達は、「選民」なのである。

 この「選民」とはエリートという訳ではない。

 社会の福祉制度システムの対象エリアに要領よく入ることが出来た人達であって、零細企業に勤めていても、こうした要領の良い人は、「選民」になって子育て手当とか、色々な福祉の恩恵や所得税控除の特典にあずかることが出来る。

 賃貸を借りることも経済的に困難な人達は、この対象・救済エリアからも外れている人が多い。


 変則的な人生を歩んできた人は、こういった境遇にあいやすい。言わば、「要領が悪い世間知らず」が、何時も割りをくって差別されるのが今の社会であることを、この雑誌や今日の飲み屋の出来事で痛感させられた。

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