いよいよニヤ遺跡探検に出発!2008/01/03 00:10

『日中・中日共同尼雅(ニヤ)遺跡学術調査報告書』(佛教大学アジア宗教文化情報研究所・佛教大学ニヤ遺跡学術研究機構編,2007)続編

 発掘記録を紐解いて、いよいよ「探検開始!」
 何が一番大事かと言えば、位置の特定である。
 ニヤ遺跡は、仏塔を中心に東西7キロ南北25キロの範囲に分布している。
 仏塔がある位置は、北緯37度58分、東経82度43分の位置である。
 このデータを元にGoogleEarthで捜して見る。
 どんどん近づいて見ると、果てしない砂漠である。残念ながら仏塔のある位置は、精細データが表示されていない。(衛星画像が低解像度のまま)
 この為、仏塔の姿を認める事は出来なかった。気を取り直して、李遇春氏の論文「ニヤ遺跡の大発見」の図1ニヤ遺跡分布図を頼りに他の遺構の位置を捜してみる。この図は、ラフで縮尺も書いていないので、捜すのに難儀するが、この報告書では、最も重要な資料とも言えるだろう。
 左上は、仏塔及び東側の部分で、仏塔の辺りの解像度は非常に低い。右の遺構については、拡大してみると、遺跡らしきものを認める事が出来る。
 この他にも遺構が点在している。
 遺跡分布図に描かれている枝の様なものは、ニヤ河の流れ跡である。これもGoogleEarthで認める事が出来て、大まかな同定が可能である。
 こうしてみると、ニヤ遺跡は、河の流域に沿って発展した都市であった事が判る。
 仏塔のある地点は、GoogleEarthで探ってみると、小高い丘の様になっている。そうして、北側の墓地を見下ろす格好になっている。
 南側には、役所や公共広場の様なところ。右側には工房や住居施設が広がっている。
 つまり、墓地や仏塔等の祭祀施設と、公共施設、住宅が区分して存在していた事が窺い知れる。
 ここでは、詳しくかけないが、出土品で多いのが、木工細工で、これは、大きな家具から針に至るまで非常に細密な細工が施されている。
 土器類も多く出土している。中には、表面に木の様な図案が描かれているものもあり、オリエント地域特有の文様化された樹木図案がある。
 更に、石器類、ガラス類が大量に出土しているが、金属器類は殆ど出土していない。
 ガラス類は、発掘調査によれば、大部分の原料やオリエント産であり、再生利用をする工房まであったらしい。
 木製品の素材は、柳類であり、これは、ニヤ河流域に生息していたものと推定される。
 こうして見ると、日常生活は、大量の樹木と木製品によって支えられていたと言える。比較的短い期間で成長する柳類が重宝された。これらは、石器類で加工されたとは思えない程の出来具合となっている。
 仏像を形取った木柱や家具類の断片も出土している。家具類には、象等インド風の図案が描かれている。
 木柱仏像が平面的な描画となっているのは、金属器の使用が困難であった等の事情もあるのだと考えられる。
 この他、精緻な織物等も出土しており、中には、中国風のものも見られる。
 文字は、カローシュティー文字であり、イラン系の文字であり、言語は、西北インドの言語が用いられており、インドとイラク・オリエント系の言語文化であった事を窺わされる。
 また、カローシュティ文字で書かれた仏典としては、法句経等、つまり、部派仏教に関連している。仏塔を中心とした文化形態とどの様な関連を持っているのか興味がある。
 私は、考古学の専門家ではないので、これらの膨大な発掘資料をどの様に分析して行けばよいのか等を知る事が出来ればと思っている。

大シルティスが中央に2008/01/03 20:00

110㍉反射PL20㍉コリメート方式でEXP505で撮影したムービーをRegistaxVer4でコンポジット処理(240枚相当)
 今日は、ウォーキングから帰って来たら火星が良く見えていたので、撮影を始める。
 午後6時20分(UT国際標準時9時20分)のシミュレーション画像では、大シルチス(火星のテトラ模様が中央よりやや右)が予想されているが、ほぼ、その予想通りに見える。
 地平線に近いので、NDフィルターを外して通常光で、CASIOEXP505の動画モードで240コマ撮影。望遠鏡は、オモチャの115㍉F900㍉反射経緯台固定撮影。PL20㍉・2倍バーローレンズで撮影し、REGISTAX4.0で約120フレームを合成。幾分、グリーンを強調してスタック後の処理を行った。
 左側が赤く見えているのは、バーローレンズ(2枚組レンズの安物)の為に色収差が見える。
 下側のグリーンと青は、北極冠で肉眼では、白く見えていた。また、眼視でも大シルティスも認める事が出来て比較的条件は良かった。透明度は、前回よりも低いが、気流は幾分安定していた。
 私の装置では、この程度が限界かも知れない。この反射望遠鏡、4年前の6万年ぶりの大接近以来、3シーズンの火星観測に活用している。