朽ち果ててしまった私の骸が見上げた天井には...2008/04/09 21:57

ペンタックスSP+インダスタール50(SPマウントに改造) CD-ROMに焼いてもらったが、埃が入っており、ケシカランことだ。
 「ああ、身体中が痛む。関節も何もかも、私の身体は朽ち果ててしまったのだろうか....埋葬されてから何世紀たっただろうか。10世紀頃までは、私の身体は棺に覆われていて何も見えなかったが、それから200年絶ち、盗人どもが、何もかも奪い去っていった時、私は、無惨な骸を晒しながら、どこからか隙間から入る光線を通して、薄暗い天井を眺めていた。狭い墓室は、私が生前命じていた通りしつらえられていた。天井には、金色の星宿が輝き、日輪・月輪が銀色の鈍い光を放つ。腐臭の混じった淀んだ空気の底から見上げれば、侍女達の姿が半ば崩れ果てて無惨な姿を見せている。生前には、あんなに美しく華やいだ声で歌を歌っていたのに....」
 このブログで書いた様に高松塚の石室・壁画の復元展示は、本来の石室平面が地上よりも数十㎝高く設置されているので、石棺の底の位置から石室内を眺める事が出来る。
 これは、折口信夫が「死者の書」で書いていた埋葬者の視線の位置だ。
 この神聖な石室は僅かで棺を置けば殆どスペースはない。非常に限られた空間は、埋葬者の為の世界である。空を見上げれば、大宇宙が見え、四方には守護神がおり、生前の暮らしが描かれている。
 高松塚古墳は、後世の人間の為の鑑賞物として製作されたものであり、死者の為の神聖な領域だと思う。
 それをあの様にバラバラにして、死者を冒涜する様な事をして恐ろしい死の穢れに満ちた災いがきっと起こることだろう。

コメント

トラックバック