傑作2010/11/18 21:04

祖父の展覧会も後、5日で終わる。
一部、展示換え(新発見の作品やらも追加されている)ので、母親からもらった券で無料参観。

結構、多くの人が訪れている。新聞記事になった為か、偉く熱心に見ているひともいるので、照れくさいような妙な気分。オリーブ園を書いた作品に僕が小さい頃につくった小鳥の巣箱が描かれているのがある。(これって僕が作ったんだよって言いたかった。)


問題の祖父の戦時中の作品、それほど悪い作品ではなかった。戦前の画風から戦後の野暮ったいようないい加減な風景画への過渡期で、海の作品では、ちょうど今頃の秋の終わりの荒れた海の風情、波の立体感、薄暗い空なのに何やら透明感がある雲やら、カモメなのか、海鳥が数羽描かれている。その海鳥もゴッホのあの最後の作品の様な寂しげな描かれ方。単なる風景の写生を超えた、何やら訴えたいものがある様な不安と絶望の作品だ。荒れた海の描かれ方は、フランス風というよりも、あのラフマニノフが作曲した死の島の風景画の元になった作品(絵描きの名前を忘れてしまった)あるいは、荒れた海の雲の対比は、メンデルスゾーンのフィンガロの洞窟を思わせる様で良い。

美術家が当時、無理ヤリに入らされた軍の組織にいた時に描かれた作品というが、それよりも、もっと、戦争への絶望を1人風景画に託していた画家の姿が浮かんでくる。
上手に修復されており、良かったと思う。


その後は、六甲アイランド北口(小磯良平記念館)から島の中央部の駅(なんっていうのかな)まで歩いた。すっかり、紅葉も綺麗で、既に晩秋の風情で昨年よりも、ずっと冬の訪れが早い感じ。途中で「保護色」のネコちゃんに出くわした。このネコちゃんのブチの色が落葉色で、斑になっているので、階段に落ちている落葉と見分けがつかない程。


傑作だと思った。


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