佛教大学社会学部主催の「テレビの現在と明日を考える」視聴感想等2009/07/05 17:13

 佛教大学社会学部主催の「テレビの現在と明日を考える」というパネルディスカッションが、先月の19日に開催されたが、時刻が悪かったので、私は行けなかった。

 幸い、この様にBUアーカイブスで一般の方も視聴出来る。
http://trymax-stream.sakura.ne.jp/bu_stream/cgibin/archives/29.html

 画像は、HDモードだが、ADSLの接続条件でもフルスクリーンでアナログTV画面並みの画質で再生出来た。

 結局、一番の問題は、TVメディアの享受層と供給事情の乖離ということである。

 一番、TV離れしているのは、若年層であり、その背景には、メディアの多様化、メディアリテラシーの普及が挙げられる。実際に、一番TVを良く視聴しているのは、高齢者層であるが、若年者層向けの番組が多いのは、TV放送局に言わせれば、「コスト」の問題であるという。
 若年向けには、バラエティー番組がウケルとTV放送局側では考えているようで、こういった番組が一番、お金がかからない。報道特集やドラマ等は制作費が相当嵩んでくる。
 民放の場合は、スポンサーの膠着化といった問題もある。つまり、企業文化やイメージにマッチした内容、あるいは、企業倫理といった問題にそぐわない番組にはスポンサーがつかない。
 今回のディスカッションをみていると、特に、アナログ放送全盛期には、結構、自由な立場の番組が多かったが、日本のメディア文化自体がグローバル化の潮流に晒され、アメリカ的なニューメディア文化、つまり、企業のメディア支配力が一層強まり、企業とのコラボレーション前提のメディア文化に変質した影響が日本のTV番組にも現れているのではないかと考えられた。
 結局、これらの状況から、TVメディアの需要と供給の乖離が深刻化しており、TV離れが一層進展することが危惧されている。特にニュースや必要な情報、あるいは、ドラマ映像まで、ブロードバンドのオンデマンドの方が質が高く、アクセスもフリーである。

 当然、情報リテラシーに長けた享受層は、TVよりも、一層、多様なインターネット経由のメディアへと傾斜していく。

 こういった中で、アナログ放送が終わろうとしている。

 今回のパネリストの中で、衝撃的な事実が打ち明けられた。現在、デジタル、地デジの普及割合は、全体の50%でアナログ放送が終了が迫っていることを考えられると驚異的な低さである。


****更なる嫌がらせがまもなく始まる!!!****

 現在は、画面に「アナログ」とテロップが入っているが、更に「嫌がらせ」が強まり、アナログ放送自体の画面が従来の1/4に縮小されるらしい。アナログ離れ、デジタル乗り換えを進展させるのが狙いらしい。

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 佛大社会学部の大場教授は、「バラエティー番組が、絶対に、ハイビジョンデジタルでなければ、と考えている視聴者は、ほとんどいないのではないだろうか。」と述べた。
 どうしてもデジタル放送でなければという決め手に欠ける中で、強制的にデジタル放送に切り換えた場合には、これまでアナログを見ていた居間からTVが消えても、新たに4~5万円も投資した買い換えようとは思わない人達が出てくるのではないだろうか。」と、強制的なアナ→デジ転換の行政的な手法に疑問を提示した。

 メディアの質が大きく変化し、TV放送自体の意義の希薄化が進む中で、アナ→デジへの転換が一層のTV離れを進めるのではないだろうかというのが、今回のディスカッションの結論であったような気がする。

 では、「TV局、番組制作側はどうすればよいのか、視聴者の要望がTVメディアに反映されるには、どうすればよいのだろうか。」といった建設的な意見は、あまり、提示されなかったようだ。

 画面をみていると聴衆もまばらであるし、もっともっとPRする必要がある。

 これは、やはり、TV自体への一般大衆の関心の薄らぎが、今回のディスカッションに出席したオーディエンスの数にも現れていたような来がした。

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