定家卿自筆「奥入り」が届いた!2008/07/05 23:07

 今日、帰宅してみたら、オークションで落札した定家自筆本「奥入り」(模本)が届いていた。
 桐の箱に収められており、仰々しい感じ。
 実際の和本の装幀や傷んでいる様子等も再現されている。
 何よりも驚いたというか関心したのは、朱書の部分や頁で切断されていたり、貼り付けられている箇所等まで再現されている点である。
 源氏物語大成や渋谷栄一先生がつくられたオンラインの奥入りデータベース等を参照しながら読んでいこうと思う。
 結局、古典の元の姿はこういった写本なので、これを見て、読んで、理解出来なければ、源氏物語を研究したということにならないので、本来ならば、本当の写本を見て勉強すべきだが、私の様な恵まれない者の為に、この様な模本が作成されたのだと思う。
 結構、安い値段で色々オークションや即売等で出ているので、これ以外にも大和物語や源氏物語の諸写本等も収集している。
 写真は若菜下の部分で、

  けふのみと春をおもはぬ時たにも
  たつ事やすき花のかけかは
  
  ちはやふる神のいかきにはふくすも
  秋にはあへすもみちしにけり

  もみちせぬ時はの山は吹風の
  をとにや秋をきゝわたる覧
  
    篁ひらの山さへ(朱書)
  秋の夜のちよをひと夜になせりとも
  ことはのこりて鳥やなきなむ
  花のかを風のたよりにたくへてそ
  うくひすさそふしるへにはやる
  (元々左側がキレテいる部分)
  ふしまちの月十九日の月な
  毛詩云
  女ハ感陽気春思男 男感陰気
  秋思

  よる方もありといふなるありそうみの
  たつしらなみのおなし所に

  わかこゝろなくさめかねつさらしなや
  をはすて山にてる月を見て

こひしなはたかなはたゝし世中の
  つねなき物といひはなすとも
まてといふにちらてしとまる物ならは
  なにをさくらに思まさまし

 毛詩が引いてある部分は、現在、数年かかかっても未だ完成をみない、執筆中の「源氏物語~光源氏の言葉」シリーズの、「六条院の女楽」でも取りあげているが、源氏物語の構想の根幹の部分である。定家卿も、こういった点について気がついていたに違いない。
 それにしても脱線ばかりしていて、卒論「源氏物語の絵画化の方法」の清書論文の提出はどうなることやら。