叔母も同様に身体の不調に苦しんでいたのだと思う2010/03/06 14:10

母方の叔母が亡くなった。

明日はお葬式だ。

母親は、実の妹なのに葬式には出ないという。
さすが、私の母親だと思う。

実家に帰って翌朝の午前中に電話で急逝が伝えられた。

たしか、今春のNHK文化センターでも、講座を開設する予定だった位だから、急に具合が悪くなったようだ。

母親よりも3歳上だが、足腰が悪くダルマの様に肥えた母親よりも、ずっと元気・健康で梅田や三宮で油絵教室の講師をやっていた位。80歳で現役でお金を稼いでいた。

もっとも、老後の生活が苦しかった為にやむを得ず働いていたこともあり、無理をしていたのかも知れない。

叔母は画家である。

叔母の絵がヤフオクとかに出ていたり、ネットで検索すると結構、若い婦女子のファンが多いようだ。私は、叔母の作風はあんまり理解できない。

それよりも趣味でやっていたピアノにいつも関心させられていた。

祖父のアトリエ(つい最近まで叔母が使用していたが、借家で立ち退きを迫られて、追い出されてしまった)には、古い19世紀に作られたピアノがあった。このピアノは、ヤマハとかとは、ぜんぜん違うヨーロピアンサウンドをきかせてくれる。

叔母は、帝政ロシアから亡命してきたシロティの弟子の門下であり、19世紀ロマンチズムの正統を受け継いでいた。日本の教育を受けたピアニストではないので、ペダルの使い方1つしても全然異なる。

響きが部屋中にフワッと広がる。この「フワッと」感は、旋律とか構造重視に日本で教育を受けたピアニストに聴けない音である。

ベートーヴェンのピアノソナタもどこか宇宙の彼方から聞こえてくる様に弾いてくれる。これと同じ様な演奏様式を持っている女流ピアニストとしては、エリー・ネイという人がいて、この人のLPが私が大好きで、何度も聞いていて、叔母にも貸したところ、すごく、感激して、その日から1週間位、ピアノの前にずっと座り詰めで、ネイの真似をレコードをかけながら試みていて、「レコードを返すから」と翌週呼ばれた時に弾いて聞かせてくれたが、もう、ほとんど、ネイそっくりの弾き方になっていた。

その後、私は、人生の負け組みになって、就職に失敗してから叔母の前からは、姿を消した。

最後に逢ったのは、祖母のお葬式だった。母親とも実の姉妹なのに大層仲が悪かったので、どうしても行き来が疎遠になった。

1週間前、寝ていたら、金縛りにあった。

深い黒い森。その奥の杉木立の根元にさびしい一軒屋があって、月が煌々と屋根を照らしている。

その上をみると、人間の頭をし、カラスの羽、足は、鳥の足なのに鬼の足の様な毛が生えている。顔は、第六天魔王の様な形相で、不遜な笑いを浮かべて、「もうすぐ、そちらに行くからな。」と言った。

その直後、ゾクゾクと悪寒がして、目が覚めた。先週1週間、体がだるく、熱っぽく、口の中は腫れるし、最悪の体調が続いた。

叔母も同様に身体の不調に苦しんでいたのだと思う。

昨日、実家に帰ってきたが、叔母の訃報。
喪服類や黒ネクタイ等を実家においてきていたので、本当にタイミング見計らった様だ。


明日はお葬式、この為に実家に帰ったようなもので、偶然とは言え、言いようのない不吉な感じである。