今、法隆寺金堂壁画に中国の学者達の熱い視線が2008/07/06 10:31

 先日の四条センターで安藤先生による法隆寺金堂壁画の講演があったが、その中で、鉄線描について、どの様な文化的背景があるのかという点について簡単な説明があった。

 その中で、于闐(ホータンの旧名)の画家で、『歴代名画記』巻8に登場する「尉遅乙僧(いっそう)」という絵描きの名前が出てきた。

 ホータンの画家達は、西域美術を唐の長安に伝えるという役割も担っていたが、その活動のバックグラウンドは、ダンダン・ウィリク等の地元での活動が際だっている。

 鉄線描は、「屈鉄盤糸」とも呼ばれるが、これは、中国の伝統的な画法である「遊糸描」や「蘭葉描」とは、全く筆つかいはことなっている。

 ダンダン・ウィリクの仏画の特色としては、肉体の輪郭線は、朱線、衣文線は、黒線で描かれる点に特色があるが、そういった場合に従来画法では、立体感、存在感で希薄な印象を受けるが、「屈鉄盤糸」を使用することで、輪郭の生命力が増し、存在感を際だたせている。

 面白いのは、ダンダン・ウィリクの画家、「尉遅乙僧」等の画風を研究している中国の研究者が法隆寺金銅壁画に今、熱い視線を注いでいる点である。

 北京大学の研究グループによるレポート(下記参照)には、特に注目するものがある。今後、西域の仏教絵画の研究が進展すれば、日中交流の文化的背景が一層、明らかにされるのではと期待される。
http://dsr.nii.ac.jp/narratives/discovery/02/

コメント

トラックバック