意外な測定結果!トランジスタと自作管球アンプをスペアナ測定2008/12/25 23:23

 ディアゴスティーニの「週刊マイミュージックスタジオ」に附属しているSSW6(シンガーソングライター6)には、バージョンアップで周波数表示(スペアナ分析)機能がついて来た。
 先日も、この機能を紹介したが、実際にどの程度、役に立つのか、CDを各種のアンプで再生してその違いを比較してみた。

 使用したCDの楽曲は、ソニー・ロリンズの「サキソフォン・コロッサス」の第1曲目、ST.THOMASである。これは、テナーサックス、ドラム、ピアノと比較的倍音成分が多い楽器のアンサンブルで出力も安定しており、比較調査に適していると考えた。
 使用したオーディオシステムは、次の通り。

1.クリスキットMARK8D+P35-Ⅲ
 SONYCPD-XE700+PARASOUND DAC-800
 DIATONE(ダイアトーン)
 16㎝フルレンジユニットP-610DB+120㍑密閉箱(クリスキットSE-120)
 典型的なトランジスターアンプである。

2.自作管球プリ(12BH7ASRPP)+2A3シングル
SONYCPD-XE700+PARASOUND DAC-800
 DIATONE(ダイアトーン)
 16㎝フルレンジユニットP-610DB+120㍑密閉箱(クリスキットSE-120)
回路定数から自分で設計したアンプである。 

3.エレキットTU870(6BM8)
 同 真空管式CDプレイヤーTU876
 16㎝フルレンジユニットP-610DB+120㍑密閉箱(クリスキットSE-120)

スピーカーシステムは切り換え機を使用している。

収録システム
 バッファローのスカイプ用ヘッドマイク
 SOTECノートパソコン(マイク端子入力)
 超録(フリーウエアの長時間WAV録音ソフト)
 http://pino.to/choroku/

 フルレンジユニットから5㎝位の距離にマイクを近づけて収録を行った。(低感度なので、これくらいマイクを近づける必要がある。)

 WAV録音されたファイルをSSW6のオーディオトラックに読み込み、波形編集機能で、0DB平均化+200%ゲイン拡大をして再生し、周波数分析(スペアナ)表示を開き、ピークフォールドにして、それを画面コピーした。

分析結果

システム1
 クリスキットMARK8D+P35-Ⅲ
 さすがトランジスターアンプなので、低域も40hzまで伸びているし、高域も10~20Kの下降線もなだらかでスッキリしている。特に高域が綺麗に伸びているのが特徴である。中音域にやや起伏があり、この辺りが特色か。

システム2
 自作管球プリ(12BH7ASRPP)+2A3シングル
 中高域までは、安定して伸びており、2~4KHZのピークもクリスキットよりもレベルが高い。しかし、5KHZから上の帯域は急降下しているのが特徴である。また、40~60HZに山があるが、これは、真空管2A3が交流点火しているので、交流ノイズが現れていると考えられる。やはり、直熱管特有のナローレンジの特性が表れた。また、100~200HZがやや落ちているのが特色である。

システム3
 エレキットTU870+真空管式CDプレイヤー

 これのみ音源が異なる。高域は、2A3同様にクリスキットに比べてやや落ちるが、2A3程ではない。また、高域にアバレがあるのが特色。5KHZに比較的鋭い山がある。これが実際の聴感でも高域のアクセントとして認識出来る。中高域は、クリスキットにむしろ近い。特徴的なのは、300HZよりも下の低音が案外伸びていることで、トランジスターアンプ以上に超低域から中高域までなだらかな特性を示している。

 比較試験の印象は、こんなにラフな装置で測定しても、アンプの特徴が良く判るのに驚いた。予想以上に音に格差があり、トランジスターと真空管アンプの音の違いがスペアナでも認めることが出来るのが興味深い。

 クリスキットの測定結果は、実際の聴感イメージとほぼ一致する。ローブーストをオンにして測定したが、それ程、低域は出ていないという結果がやや意外。2A3シングルの直熱管を使用したオール自作アンプで回路から自分で設計したが、案外に高域が伸びていないのはがっかりである。交流ハムノイズは殆ど実際に聞いていて気にならないが測定結果には、シビアに現れている。
 今回、最も、驚いたのは、TU870と真空管CDプレイヤーの組合せは、トランジスターアンプに比べても遜色なく、低音域のフラットさ等、聴感以上に優秀な結果であった。
 やはり、6BM8という複合MT管という近代的な球であること、回路も現代的な設計技術が効果を発揮している。こうしてみると、値段等を考えるとTU870は優秀なアンプであることが判る。

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