バクスターが書いたという2番煎じというか続編 ― 2010/06/07 23:54
スティーブン・バクスター著『タイム・シップ』
これは、H.Gウエルズの『タイムマシン』の続編をバクスターが書いたという。2番煎じというか続編を別の作家が書くというパターン。
この様な方法を採った場合には、失敗する場合があるが、源氏物語の『手枕』の様に本居宣長が、既に江戸時代には失われていたか、あるいは、元々書かれていなかったか六条御息所と光源氏の馴れ初めを書いたのだが、やはり、これを読むと擬古文はうまくかけており、係り結びとか、そういった平安時代の構文もそれなりに使いこなされているが、和歌がやはり宣長は下手で、しかもなんとなくぎこちなさが残っており、宣長先生には、失礼だが、失敗作である。
このタイムシップは、なかなか良く書けている。バクスターという名前がビクトリア時代風のお名前だが、実は、この人は、20世紀の人物だ。つまり、もともとのタイムマシンが書かれてから数十年後に続編が書かれたので、手枕程ではないが、やはり、ウエルズとは時代背景も違うし、タイムマシン自体が、ビクトリア王朝時代の価値観によって成立したアンティークマシン風に描かれている点が洒落ている。
ウエルズは、実は、タイムマシンで、彼が『世界史』の著作活動通じて直観した、アングロサクソン的な発展史観の限界、あるいは、階級社会への宿命と幻滅について描こうとしている。この作品では、「文明の退廃」というのがテーマであった。
バクスターは、早川ミステリー文庫に取りあげられるべく、興味本位で、ウエルズの作品を引き継いで書いているが、僕がさっき書いた様な文明への幻滅とか退廃とか、そういった内容も理解しており、見事にその続編に描こうとしている。
タイムマシンは、悪魔のマシンというかパンドラの箱である。人が時空を超えて移動するということは、「人でなくなる」というテーマをうまく描いている。
また、バクスターは、20世紀のSF文学史の成果を踏まえて、タイムマシンパラドックスとか、かならずクリアされていなければならない問題点についても触れており、それなりの成果を挙げている。
但し、残念なのは、タイムマシンのメカニズムであり、量子力学とか、そういった生半可の理論物理学の知識と鉱物学、化学、光学、結晶工学等の理論を無理ヤリにこじつけて、時間の航行を可能にする新物質について叙述している点であり、これは、あまりにもインチキ臭く、HGウエルズの方が、タイムマシンのメカニズムを明らかにしない分だけリアリスティックな印象を読者に与えている面もある。
そういえば、さっきもNHKでタイムパトロールが、18世紀初頭の江戸時代の宿場町に時間航行して、籠カキと女郎さんとのエピソードを妙にリアリスティックに描いていたが、これも時間航行とかパラドックスについて敢えて目をつぶって問題にしない為に、かえってドラマが面白く仕上がっている。
バクスターの作品は、このタイムマシンの原理・メカニズムが暴露されることによって、時系列的な激動が起こされて、全く違った世界に、この世界が変わってしまう状況を絶望的に描いている。
それなりに存在価値はあるかも。
これは、H.Gウエルズの『タイムマシン』の続編をバクスターが書いたという。2番煎じというか続編を別の作家が書くというパターン。
この様な方法を採った場合には、失敗する場合があるが、源氏物語の『手枕』の様に本居宣長が、既に江戸時代には失われていたか、あるいは、元々書かれていなかったか六条御息所と光源氏の馴れ初めを書いたのだが、やはり、これを読むと擬古文はうまくかけており、係り結びとか、そういった平安時代の構文もそれなりに使いこなされているが、和歌がやはり宣長は下手で、しかもなんとなくぎこちなさが残っており、宣長先生には、失礼だが、失敗作である。
このタイムシップは、なかなか良く書けている。バクスターという名前がビクトリア時代風のお名前だが、実は、この人は、20世紀の人物だ。つまり、もともとのタイムマシンが書かれてから数十年後に続編が書かれたので、手枕程ではないが、やはり、ウエルズとは時代背景も違うし、タイムマシン自体が、ビクトリア王朝時代の価値観によって成立したアンティークマシン風に描かれている点が洒落ている。
ウエルズは、実は、タイムマシンで、彼が『世界史』の著作活動通じて直観した、アングロサクソン的な発展史観の限界、あるいは、階級社会への宿命と幻滅について描こうとしている。この作品では、「文明の退廃」というのがテーマであった。
バクスターは、早川ミステリー文庫に取りあげられるべく、興味本位で、ウエルズの作品を引き継いで書いているが、僕がさっき書いた様な文明への幻滅とか退廃とか、そういった内容も理解しており、見事にその続編に描こうとしている。
タイムマシンは、悪魔のマシンというかパンドラの箱である。人が時空を超えて移動するということは、「人でなくなる」というテーマをうまく描いている。
また、バクスターは、20世紀のSF文学史の成果を踏まえて、タイムマシンパラドックスとか、かならずクリアされていなければならない問題点についても触れており、それなりの成果を挙げている。
但し、残念なのは、タイムマシンのメカニズムであり、量子力学とか、そういった生半可の理論物理学の知識と鉱物学、化学、光学、結晶工学等の理論を無理ヤリにこじつけて、時間の航行を可能にする新物質について叙述している点であり、これは、あまりにもインチキ臭く、HGウエルズの方が、タイムマシンのメカニズムを明らかにしない分だけリアリスティックな印象を読者に与えている面もある。
そういえば、さっきもNHKでタイムパトロールが、18世紀初頭の江戸時代の宿場町に時間航行して、籠カキと女郎さんとのエピソードを妙にリアリスティックに描いていたが、これも時間航行とかパラドックスについて敢えて目をつぶって問題にしない為に、かえってドラマが面白く仕上がっている。
バクスターの作品は、このタイムマシンの原理・メカニズムが暴露されることによって、時系列的な激動が起こされて、全く違った世界に、この世界が変わってしまう状況を絶望的に描いている。
それなりに存在価値はあるかも。

最近のコメント