高放射能環境下での作業に適したロボット2011/03/26 08:51

原発の復旧作業の様子が報道されている。
http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY201103230477.html?ref=rss

原子力安全院や東電の発表では、作業内容とか事故内容とか被爆内容についての発表はされていても実際の作業員の人たちがどんな環境で、働いておられるのかについては、ほとんどコメントがないのは、やはり、国も企業も人命を二の次にしている証拠だと思う。

この記事で、作業員の人たちがどんな風に寝泊まりして働いていらっしゃるのかがよくわかる。

先日の3名の被爆事件でも、協力会社の社員が作業をしているが、欧米での原発事故を想定した作業着は、ブーツの着用が絶対条件なのに、漏水がないからといって、くるぶしまでのクツで作業していたら、水深15㎝の放射能が蓄積された水がクツの中から侵入してきたという。

通常ならば、考えられない事故というか、管理ミスである。

協力社員と言えば、聞こえが良いが、危険な作業ばかりを下請けで作業する会社。おそらく非正規雇用の社員もおられるかも。危険な仕事なので、給料はよいかもしれないが、その分、安全が軽視されているのであれば、人権問題にもつながる。

アメリカは、ロボットを貸し出すと言っているが、日本は、世界有数のロボット国で、こういった作業環境でも動作可能なロボットがいくつか開発されている筈なのに何故、投入しようとしないのだろうか。

今回の事故を契機に高放射能環境下での作業に適したロボット等が開発されれば、世界で役に立つだろう。

安本美典先生による「コンピュータによる記紀の分析」2011/03/26 09:22

 未だに実家においてある本も多い。

 この3冊もお気に入りだが、分厚く重たいので、実家においてある。幻想図書辞典は、最近買ったほんである。

 古今東西の怪しげな事物に関する図書をまとめた文献目録であり、非常に役に立つ本である。

 その中でも「ヴォイニッチ写本」の項目が面白い。大体、未だに解読されていない文献が存在していること自体が面白い。写本ということで、15世紀までに成立したとされているが、言語も文字も不明である。実は、かのフランシス・ベーコンが贋作した本であるという奇妙な説まである。

 とにかく読んでいて興味はつきない。

 残りは、佛大の斉藤教授宜しく神社、記紀関連で学術的というか興味本位で書かれたものである。僕は、幼い時から神社・仏閣が好きで、親に連れられて一人でよくお参りにいっていた。

 実家の近くは、多田院といって清和源氏発祥の地でもあり、多田神社の領地でもあった。家から30分の距離にあるこの神社では、毎年4月になると源氏祭りが開催される。

 そこに昔は、武者行列に加えて稚児行列というのがあって、その稚児になるのが、僕の夢であったが、友人が選ばれても容貌が醜怪な自分は選ばれることがなかった。まさに「鬼」の様な気持ちで、これらの行列を眺めていた。

 神社から出発して、祭神について興味を持つようになり、古事記、日本書紀の世界に入っていくようになっていた。だから、これらに出てくる神々は自分にとっては、身近というか生活感さえも漂っている。

 『古事記・日本書紀の謎』には、安本美典先生による「コンピュータによる記紀の分析」という記事が掲載されている。

 安本先生は、私の源氏物語の成立についての考察、研究(修士論文)にコンピュータによる解析法を採用する際に同先生の「宇治十帖の成立過程について」の論文を先行研究に取り上げさせていただいたが、ここでは、記紀についての同じ様な研究手法の投入について簡単に記されている。

 面白いのは、「数理文献学」のコンセプトを導入されており、古代インドの文献学者がリグヴェーダの詩句の観察に始まり、イギリス王立統計協会会長のユールによる数理文献学研究の金字塔とも言える著作について触れられている。これは、「イミタチオ・クリスチ」の著者についてドイツの修道士トマス・ア・ケンピスという説と、ジェン・ジェルソンという説に分かれていた時に、文章の統計的な解析を行い、更に、2人の著者候補の書いた文章についても同様の解析を行って、その相関性について、統計的な判定手法によってトマスの相関係数が、0.91であり、統計的に有意の相関関係にあると判定した。

 私も同様の方法で、紫式部日記と源氏物語の本文について、分析を行った結果、源氏物語の文章は、

1.複数の著者による執筆の可能性がある。
2.紫式部日記の作者と有意な統計的相関性がある文章が存在する巻(夕顔、若紫)が存在することから、源氏物語の複数の著者の中には、紫式部が含まれている可能性が高い。

といった事実を科学的・客観的に立証し、それを佛教大学の国文学会で発表したが、誰も、賛同者がおられなかったのは残念である。

記紀の場合は、源氏物語の場合は仮名表記でのパソコンへの入力が容易であるが、記紀の場合は、遙かに困難である。従って、文章そのものの解析よりも、歴法、年代法の鑑定及び登場する地名の統計的考察等が有効な手段である。

古事記に登場する地名には、山陰と九州地方の地名が圧倒的に多いことが統計的手法で示されており、それが何を意味するのかについて考えてみると興味がつきない。

コンピュータが実証した天照大神と卑弥呼の時代2011/03/26 15:11

 安本美典「コンピュータによる記紀の分析」では、代々の天皇の在位年数から、年代を推定する方法も紹介されており、明治時代の那珂通世の研究や、東京大学の平山朝治の論文が紹介されており、平山朝治の代々天皇の在位年代の推定と誤差率についての一覧からみると、卑弥呼の時代(西暦238年に魏に朝貢)に相当するのは、神武天皇の時代よりも5代前の天照大神の時代に当たるとしている。

 そこから、論が飛躍して(この辺りは感心できないが)先ほど書いた通り、古事記に登場する地名等で九州が多いことから、邪馬台国九州説を支持されている。