さよならモーツアルト ― 2007/01/04 19:57

昨年はモーツアルト生誕250周年で、様々な演奏会や催し物、CD、全集等の企画がされたが、とうとうその年も終わってしまった。
バブルがはじけて、暫くの間は、クラシックブームが冷え込んでいたが、世紀末から今世紀初頭にかけては、再燃する気配もあった。しかし、その後、有名なスター的な演奏家の多くが死に、若手に世代交代する中で、再びクラシック音楽界は、低迷期に入っていると言われる。
CDの売れ行きもさっぱりで、ダウンロードやデジタルプレイヤーの普及が、冷え込みに拍車をかけた。クラシックの場合は、ダウンロードとか携帯プレイヤー等を使用するユーザーは少ない為に、レコード会社各社は、クラシックCDの新譜を数多く投入してきており、国内の若手アーティストの発掘等も積極的に行っているが、売れない、本当に売れないのである。
「縮小再生産」が進んで、CDの新譜は、どんどんつまらなくなり、廉価版の方が売れている状況をどうみるのか。衛星放送で、相当良い音質でエアチェックされてしまうと、1枚3千円の新譜は売れない。起死回生の役割を果たすと見られていたSACDも駄目っぽい状況となっている。
モーツアルトの新譜は、私は殆ど購入していない。大抵は、ピリオド楽器のキリギリスの様な弦楽器の音が大嫌いだからである。エンシェント室内管弦楽団が初来日して、ホグウッドの指揮を初めて生の演奏会で聞いた時は、カルチャーショックを受けたが、決して、良いとは思わなかった。
私は、ペタペタしたハンマーフリューゲル等初期のピアノやハープシコードの音が特に嫌い。ガット絃を張って肩に乗せてひくヴァイオリンや奇妙な抱え方で演奏されるチェロも大嫌い。18世紀のフルートトラベルソの尺八の様な不安定な音程も嫌い、喚くようなノンピストンのトランペットはもっと酷いと思う。
19世紀後半以降のオーケストラ音楽は飛躍的な発展と進歩を遂げるが、そのスタイルでモーツアルトをしみじみと味わってみたい。
もう、モーツアルトイヤーは終わってしまったのだから。
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