プリアンプのその後2007/04/06 17:18


毎日の様に使用している管球プリアンプだが、製作してから、もう6~7年位経過するので、やはり消耗する部分が出てきた。
真空管や電子回路部品は大丈夫(整流用ダイオードが熱を持つので、いずれ交換する必要があるかもしれない。)
トランスは、前回交換済みで問題ない。
今回、セレクタースイッチとテープ・ソース切り換えスイッチがおかしくなった。セレクタースイッチは、滑るのでネジ固定剤を少しつけたところ軸まで液が浸透してしまって動かなくなったので、アルプス電気の製品に交換した。
その後、どうゆう訳かスイッチ接触不良となり、これも交換、現在では問題なく動作している。
市販品では、とうに保証が切れて補修部品も入手困難になるが、自作品は、適合する部品が発見されれば、いくらでも交換・補修が出来る。
今回、面白かったのは、セレクターを交換したらガラッと音が変わった事だ。音の輪郭がハッキリしてメリハリ感が出たような感じがする。アルプス電気のものに交換して好かったと思った。
それにしても真空管プリアンプは、音は驚く程、変化しやすい。筐体の構造と材質、真空管の保持方法、配線線材、そしてスイッチ、セレクタ、ボリウム関係を交換すれば、それぞれ音に特色が出てくる。
私は、配線材は、単線の細いものが好きだ。縒線の様な磁束の影響が少なくなり、音に濁りがなくなりクリーンになるから。但し、半田付けは非常に難しい。

registax天体写真画像処理と柳田民俗学の共通点2007/04/06 21:55


 小口径の天体望遠鏡でも、光学系の分解能の限界近い程、解像度を実現するREGISTAXの原理について考えてみた。このソフトは、ビデオ等のAVIファイルを数100枚のコマに分解し、基準となる画像と個々の画像の偏差を測定し、精度順に配列を換えてから、上位から5%以内、あるいは10%以内という指定に基づいてサンプリング抽出を行いコマを重ね合わせていく。
 右の図は、上の2枚が個々のコマ画像を表すが、2枚の画像で違っている部分は、数100分の1に薄められてしまって、結局、共通している部分だけが残されていく事になる。
 つまり、統計的な手法でノイズを取り除いていく訳だ。当然、サンプル数が多い程、共通している部分が細分化され、解像度・情報量が上がっていく。その様子をグラフでシミュレーションしてみた。nは情報の件数で、青い線は理論的な情報曲線、赤色が観測データのバラツキによる誤差を表したものである。
 データの件数が多くなればなる程、誤差も大きくなっていく。その誤差の原因としては、時間の経過と共に原画像のクオリティが変化する事が影響する。すなわち、空気の揺らぎによる屈折率や光の透過率の変化等が挙げられる。
 従ってデータの個数(コマ数)が増えれば増える程、解像度が上がると言う訳ではない。また、当然、望遠鏡の光学性能の限界やカメラ側の精度の限界点で飽和状態になる。実際には、どの程度のコマ数でその飽和点を迎えるのか時間があれば実験してみたい。この為には、自動追尾装置がついている望遠鏡架台が必要になってくる。
 Registaxによる情報処理は、コンポジット法と言われるが、これは、ただ単に写真のピクセルの粗さを緩和すると言うよりも理論的に見れば、統計的手法によるデータノイズの除去と言う事になる。
 この方法は、画像処理だけではなくて、様々なデータ分析や調査手法に使用されている。非常に興味深いのは、私が佛教大学の通信教育で学んだ民俗学概論のテキストに、あの日本民俗学の父とも言える柳田国男は、重出立証法と言う資料操作法について、「重ね撮り写真の方法にも等しい」と書いている事である。
 つまり、地方から日常生活の調査データを集計する時にその個々のデータ共通点を重ね合わせて行く事で、全体としての比較の対象となるデータの特色を強調する事が出来ると言う理論である。サンプリング収集されるデータが多ければ多い程、調査の精度が上げられる。
 この資料調査法を応用して、「平成アホバカ分布図」につながる「蝸牛考」方言周圏論を確立していく訳だ。つまり、方言の「近くの不一致、遠くの一致」が何故起こるのか、中央からの伝播の仮説を見事、証明した訳だ。
 情報処理理論の立場から見れば、火星や土星の天体写真も人文分野の民俗学も実は、同じ方法論の内に成り立つケースも出てくるわけだ。