備前長船の刀身に魅せられる。これは、瀬戸内海の海の色2009/02/20 23:56

 今日と昨日は、岡山に1泊の出張だった。久しぶりに訪問した岡山だったが、岡山コンベンションホール等新しい建築物が出来ており、地下街の商店街も完成し、賑やかな人通りであった。
 仕事は、早い目に切り上げて、早速、岡山の町の探索に出たが、市電で、岡山城を始めて訪れた。
 天守閣は、大阪城の様に新築だが、石垣の石組みや烏城といった風貌を見事に再現した天守閣等、見所も多かった。

 特に関心したのは、刀剣の展示であり、池田家に伝わったものとみられる鎌倉時代から桃山時代にかけての名刀が城郭博物館に展示されていた。

 その中で備前長船兼光の刀は、出色の出来であった。時は南北朝時代。鎌倉時代まで続いた平安朝風の優雅なつくりから、実用的な構造の強さが加わったが、やはり、刀身の波紋は見事であったが、それよりも惹かれたのは、刀身の色合いである。

 青色とも浅緑とも、鈍色ともつかない不思議な色で、吸い込まれるような魅力である。名も知れぬ深い海の底に生息する魚の銀色の腹が様々に変化して光っている様な神秘さである。

 「この色は、どこから見たような....」色々、想いだしてみたが、早春にかけて荒れ模様となる瀬戸内の海の色である。

 中国地区の瀬戸内海の色は、独特の微妙な色合いである。本格的な春が来れば、深緑になるが、この時期は、刀身の様な青い銀色がかった色が混ざっている。

 幼い時に祖父の元に預けられて一人、眺めた海の色である。

 やはり、備前の刀であるだけ、そういった海の不思議な輝きを宿している。山幸・海幸の合作で出来た刀の様な感じで、刀が芸術品だと感じたのは、これが始めてのこと。

 その後、県立博物館で、桃山後期から江戸時代の刀を見たが、やはり、備前の刀らしい色調を宿しているが、長船程ではない。

 それよりもここで見物は、やはり、室町から桃山時代にかけての備前焼の名品であり、あの天然の赤い釉薬が偶然にも土色の肌に上品なアクセントを添えているのは、モダン芸術の様だ。

 写真は、最近完成したデジタルミュージアム。岡山には、新しい名所が加わった。バーチャルリアリティがついに本格的なミュージアムの仲間入りをした記念碑的な作品である。