彼らは判っていない2011/03/09 09:47

 大学卒の就職率が低いことが、社会問題となっているが、果たして、これは、本末転倒である。というのは、大学は、そもそも研究機関であって、教育といっても、研究者を育てる為の基礎教育としての学部の位置づけがあると思っていた。

 最近では、定員割れ対策の一環として、就職に向けた専門的教育をPRする大学も現れたが、それならば、別に大学ではなくて、専門学校で良い。

 ということで、学生の中には、大学を辞めて専門学校に行ったり、あるいは、大学を卒業してから専門学校に入り直したりするものもいる。

 でも、それならば、どうして、大学進学を選んだのだろうか。

 彼らは判っていない。

 20代の1年は、30~40代の数年以上に匹敵する貴重さである。つまり、「若さは商品」なのである。自分の青春を企業に売り渡して、中高年以降の安定した生活をゲットするのが、従来の就職であった。

 しかし、終身雇用制も崩れて、そういった「人身売買」的な考え方も薄らいで行く中で、改めて、大学というものの果たす役割が注目されている。

 僕は、若い時期に無理をして大学に行かなくても良いと考えている。社会人になって安定した収入が得られたり、あるいは、スキルアップの為に、企業から派遣されて学ぶ方が、「資金投入効果」が上がると思っている。
 
 教育は、投資なので、インプットとアウトプットの結果を考えて価値判断しなければ、ならない。

 僕が大学を出て就職に失敗した時、今の学生達がそうである様に大学を恨んだことはない。むしろ、大学院に行きたいので、担当の教官に相談しても、真面目に取り合って貰えなかったことが未だに悔しい。別に、教授がいる大学のレベルについて行けなくても、もっと格下の大学でも大学院に進学すれば、その後の業績次第で、ロンダリングも可能であるから。

 こうした過ちが生じた背景には、やはり、「就職予備校」としての大学の中途半端というか誤った価値判断基準というか、大学側の現実認識欠如といった点が背景にあると思う。

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