この旅行記は面白い!2007/08/29 22:48

『インド旅行記1~3』(中谷美紀著、幻冬舎文庫)

 中谷美紀って、あんまり、私は、TVはみないので、女優さんといってもどんな女優さんか、知らない。
 Googleで検索して、ああ、この顔どこかで見たことあったっけと言う位、印象が薄い。一応、公式サイトもある。
http://www.roomsnakatani.com/
 「インド旅行記」という本の題名と北インド編の表紙の砂漠のイメージに惹かれた買った。(購入した書店は、BOOK-1ST新阪急ビル店、どうゆう訳かジュンクや紀伊国屋では、文庫本を買う気になれないのにこの店では、色々と買う事になる事が多い。何か購買意欲を刺激する要素があるのだろうか。)
 このシリーズは、北インド編(第1巻)、南インド編(第2巻)、東西インド編(第3巻)に分かれている。
 現代のインド社会について、アジャンター等の仏教遺跡についても知る事が出来るので、結局、全3巻を購入してしまった。インド旅行に行ってみたい人には、役に立つかも。
 第1巻の北インド編では、初めて、旅行記を記す新鮮な気分が文体に現れている。また、インドと言うアジアの中でも特にユニークな国への先入観が、実際にインドの地に足を踏み入れて実地体験に書き換えられていく様子が、身近な感じがある文体で綴られていく。私は、文章を書くのが苦手だが、この人は、実に自然に自分の言葉でインドの「バッチイイメージ」あるいは、「未知の世界に足を踏み入れる不安」等が描かれている点に関心させられる。特に最初の内は、文体がこなれていないのだが、後の2巻は文章が旨くなって書き流してしまっていて、印象が薄い部分がある。
 第1巻の北インド編では、パスポートを盗まれたり色々な経験をするが、周囲の人の協力で問題が解決していくところ等が面白い。リキケシュでの高山病になった経験等のところが面白く読めた。第2巻の南インド編では、チェンナイの空港が洪水の為に閉鎖となり、帰国の為の飛行機が飛べなくなるところ等、スリリングな様子が良く描かれている。第3巻の東西インド編では、ダージリンのタイガーヒルでカンチェンジュンガの頂を見るところや、エローラやアジャンタの遺跡を見るところ等、非常に興味深く読めた。
 全3巻を凡そ2週間(電車の行き帰りの時間)で読了してしまった。これまで読んだ旅行記の中では、非常に良い出来だと思う。
 佛教大学でインドを視察した先生方に教わっているが、インドの経験として、東インドでは、大抵、恐い目にあっており、知り合いの偉い先生が盗難の被害にあって身ぐるみ剥がれて途方にくれていた話とか、物騒な話も色々と聞かされるが、様々な仏教遺跡のスライド等を見せていただいたり、同じ仏教芸術コースの同級生(といっても年輩の方であるが)が既に何度と無くインド旅行に‪行って、現地で撮影した仏像の写真等を見せてもらいながら、話を聞いている内に一生に一度で良いからこの国を訪問してみたい気にさせられた。