◎民主党の最大の政治課題は、2010年の国債大量償還の危機を如何に乗り越えるかである2009/09/07 09:29

 『10年後の日本』(「日本の論点」編集部,2006,文春新書)

 この本は、梅田第3ビルのB2Fのもっきりやで105円で購入。初刷が2005年なので、約5年前に書かれた本。その後、サブプライムローン崩壊や米国の空前の大不況が発生しないことを前提に書かれているので、もう、時節にそぐわないということで、100円本での販売になったとみられる。

 こうした予測本は、ハズレが多いが、サブプライムの予想は無理だったが、それ以外の状況は、相当良く的中している。なんといっても、前回の衆議院選挙(郵政民営化選挙)の頃に書かれたもので、景気は、踊り場脱却、本格的な回復基調にある中で、この様なことが書かれている。

①格差社会・治安悪化・消費税引き上げ △

②団塊世代大量退職 ○

③人材空洞化と不動産不況(マンション供給過剰) ○

④漂流する若者達、若年失業者、引きこもり、学力の衰退 ○

⑤高齢化社会と世代対立(高齢者の都心回帰現象、ニュータウンの衰退、縮小する介護サービス) ○

⑥家族の絆と子供の未来(児童虐待、低能化する学校教育) ◎

⑦男と女の選択(出生率の低下) ○

⑧地球崩壊の危機(温暖化、新型インフルエンザの蔓延)◎

⑨グローバル経済の奔流(財政破綻の危機)◎

⑩不安定化するアジア(北朝鮮との緊張の高まり、ミサイル攻撃と防衛の危機)◎

 この的中率はなんだろう。凄いと思う。ノストラダムス顔負けだと思う。まるで、タイムマシンで見てきた様な近未来予想の的中率である。あまりに的中しており、意外性がないので、陳腐化していると錯覚が起こされがちだが、まだまだノンビリしていた小泉内閣時代に書かれた本であることを考えてみれば、凄いと思う。

 ①に関しては、消費税の引き上げが見送られたが、他は的中している。⑤等は、都市近郊の高級住宅地の空屋増加、商店街の崩壊等を描いている。⑧は、今起こっていることそのものであり、エマージングウイルスの脅威は、インフルエンザ以外にいつでも人類にとって脅威だという。⑩に関しても北朝鮮のミサイル攻撃技術の進歩、核弾頭以外に生物兵器の脅威まで書かれている。

 一番、気になったのは、⑨である。サブプライムローンの崩壊は予言から外れているが、2010年に800兆円近い国債の償還期限を迎える。

国債償還で財政的に厳しくなり、非現実的な民主党政権による、子持ち家庭への「下賜金給付」や高校教育無償化等の余裕は、実は、今の国家財政には、全くない。

依然、ここにエントリーした記事で書いた通りだが、結局、国債の追加発行で、国家財政破綻への道は一層近づく。そうなると、まず、国際債券市場での日本国債の信用評価(格付評価)が下がることになる。グローバル投資ファンドの投資リスクが上昇した段階で、結局は、長期金利の引き上げということになってくる。かつての韓国の様な状況である。日銀の権限にも限界があり、長期金利の上昇が食い止められないことになれば、「市場のメルトダウン」が発生し、金利暴騰、超インフレ時代となり、お金は紙くず同様になる。

 ◎民主党の最大の政治課題は、2010年の国債大量償還の危機を如何に乗り越えるかである。自民の小泉総理が早々引退したのは、この危機が訪れることが判っていた為であると思う。政治家、政党にとって、致命的な危機、災厄がやって来ようとしているのだ。


 住宅ローン等は、固定金利10年もの、20年もので少々割高でもそういったものを買っておけば、超インフレになった場合には、諸物価が高騰する中で、住宅ローンの生活費に占める比重は、大幅に軽減される。まさに「借りた者勝ち」の世界の出現である。但し、変動金利にしている人は、金利の見直しを行った方が良いだろう。少し損でも固定金利で借りて置くべきだ。


 大きなリスクが大きな利益につながるという情勢が訪れようとしている。
 私は、この本を読んで、これから借りる住宅ローンの金利を固定型にしようとおもった。

 いまや、「自民党・小泉ドクトリン」の時代は終焉を迎え、新たな金融リスクマネージメントがもとめられる時代に突入しようとしているのだ。

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