諦めるか、それとも抜本的対策か2011/03/29 13:56

 トレンチ縦溝で、プルトニウムが含まれた汚染水が検出されたということで、使用済み核燃料の保管プールではなくて、原子炉本体ということになれば、相当怖ろしい状態になっている。

 万が一、圧力容器が破損した場合でも、この図の様に、その外側には、コンクリートのシールドがあり、その中で、核物質が止まる仕組みである。更に、その外側を格納容器が覆っている。

 本来は、格納容器が破損、亀裂が入った場合には、核分裂に伴って生じる放射能が漏洩しても、プルトニウムは、検出されない筈である。

 今回の場合は、殆ど燃料棒全体が、熱溶解して、大部分の燃料が圧力容器の下に貯まり、更に、コンクリートのシールドをも核反応の熱で熔解させて、更に、外側の格納容器の底部に貯まっている。そこに注水が行われた結果、底部に貯まった未反応の核燃料を含めた溶液が更に地下に浸透して、タービン室まで汚染が拡大したと考えられる。

 こうなると、高温の核燃料が圧力容器の中に残っている筈で、これらは、部分臨界に達している可能性もあるので、注水でも温度を下げることは、難しい。冷却水を循環させる必要があるが、今回の放射能水除去作業で、復水タンクが使用出来なくなったので、冷却水を循環させるには、新たに別系統の冷却システムを外部から搬入して稼動させる以外に方法はない。

 つまり、現状のシステムを修復して、冷却システムを再稼働させるという当初の復旧方針は、もう、不可能となっている。

 今後、留意しなければならないのは、既に圧力容器を突き破って溶解を続けている核燃料が更に外部のコンクリート隔壁をも、熱破壊して、大量の汚染物質が地下に染みこむことである。

 トレンチは、実際には、原子炉とは、直結されていない。そこでも、プルトニウム検出ともなれば、既に、外部コンクリート隔壁さえも、メルトダウンの結果、破壊、もしくは、破壊されつつあると考えられる。

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 外部に冷却システムを追加工事を行うにしても、格納容器の内部の様子が把握できないと、何をやって駄目である。つまり、もう既に最悪の事態に到達している可能性もある。

 作業が遅々として進まないのは、人間が作業出来る限界を事態は既に迎えた為である。ロボット等を導入して、格納容器の周辺を調査して、亀裂が発見された場合には、そこからファイバーを挿入して、内部の様子、特に圧力容器の様子を確認する必要がある。

 今の作業、まるで、目をつぶって象の尻をなでている様な状況なので、なんら進展がない。いっそ、ロシアのチェルノブイリの様に、何もかも諦めて、4基の原子炉の外にコンクリート隔壁を急造して、汚染水ごと、放射線を閉じ込めてしまう以外にない。

 今回の場合は、アメリカよりもロシアの原子力技術者にアドヴァイスを聞いた方が参考になるかも。

 抜本的な対応としては、破損した燃料棒を除去して、安全な場所に格納する以外に道はないが、それももはや無理だと思う。

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