レーザープレイヤーとフルヴェン「エロイカ」 ― 2008/10/02 00:23
最近、ALTUSというレーベルからレーザープレイヤーを使用して再生したフルトヴェングラーの所謂「ウラニアのエロイカ」というLPレコードをデジタル収録したCDが発売された。
「ウラニアのエロイカ」というのは、1944年12月のウィーン学友協会が、同時、ドイツ帝国放送が実用化していたマグネトフォン(76㎝/秒で走行するモノラルテープレコーダーでウィーンムジークフェラインから録音装置が置かれたいた放送局までケーブルで中継された)収録されたテープが、ソビエト軍に接収され、それをソビエトのメロディアというレーベルが、海賊盤として、その録音を元にモノラルLPレコードを制作したもので、幻の名盤と呼ばれた。フルトヴェングラーによるベートーヴェンのエロイカは、1952年のEMIスタジオ収録が最もオーソライズされた録音で音質も良いとされて来た。しかし、この戦後録音のエロイカは、たしかに造形的な美しさ、演奏の完成度の高さはあるものの、晩年のフルトヴェングラーの演奏で、情熱とか生命力とか、自由な即興性とかそういった魅力に欠けている嫌いがあった。ところが、このウラニアのエロイカは、1952年盤に欠けている要素を全て備えていたので、瞬く間にファンの間で有名となったが、フルトヴェングラーの許可を得ずに発売された為に、裁判沙汰となった。
その後、ソビエト末期にモスクワ放送局に保管されていた大戦中のドイツから接収した録音ライブラリーのテープの中から大量のフルトヴェングラーの演奏が発見され、その中に、このウラニアのエロイカのオリジナルテープ録音も存在した。
それをデジタルコピーした録音が西側に送られて、CDとして発売された。それも何種類もあるが、写真の下のCDは、この様なデジタルリマスターされたテープを元に制作されたCDでフランス製のもの。
一方、今回、取りあげるのは、レーザープレイヤーで再生されたものをCD化した録音。
レーザープレイヤーは、日本の(株)エルプが実用化したもの。
http://www.laserturntable.co.jp/
その特徴としては、SP、EP、LPのアナログディスクにレーザー光線を照射してその反射波の明暗をアナログ信号として読み取るので、従来のレコードプレイヤーの様にレコード針やカートリッジは介在しない。
但し、読み取られた信号は、RIAAカーブやコロンビアカーブ等、レコード特有のイコライジング処理がされているので、それは、オリジナル信号に変換するエコライザー回路等を備えている。また、レコードの回転数の微調整等も可能である。
このプレイヤーで再生されたレコードの音は、限りなくレコードが刻み込まれたラッカー原盤に近い音質である。
但し、レコードカッティングの際に行われたリミッター・アッテネーター、イコライジング、ハイ・ローカット処理による音質の変質、更には、カッティング用ヘッドアンプ、カートリッジヘッドの歪み、熱雑音、ラッカー盤との接触ノイズ、カッティングテーブルのモーターの駆動音、雑音等は、そのまま再生される。
果たして、ドイツ帝国放送のデジタル孫コピーを原盤としたCDと、LP盤をレーザープレイヤーで「板起こし」したディスクの音質はどちらが良いのだろうかという問題がある。
ドイツ帝国放送のマグネトフォンデジタルコピー盤の欠点としては、
①発見された時点で録音されてから45年が経過しており、テープの劣化がかなり進んでいた。それは、転写、高域特性の劣化、雑音の増加等
②デジタルコピーが行われた1989年頃のデジタル技術では、DSD等の技術もなく、情報量自体が少ない可能性もある。
マグネトフォンデジタルコピー盤の長所としては、
①限りなくオリジナルテープに近い音質が得られる。
ということに尽きる。
一方、レーザープレイヤー再生ディスクの欠点としては、
①カッティング時に加えられた変更、ノイズ等の影響を受ける。
②レコード盤としてプレスされる際のメッキ原盤再生の時の音質劣化、塩化ビニール素材から析出する結晶がノイズ、音質低下の原因となる。
等が上げられる。
一方、長所としては、
①このレコードがカッティングされた当時は、音源テープは、それ程、経年変化が進んでいなかった。
②最新の技術でDSDマスターが制作され、96KHZPCMフォーマットに変換されるので、デジタル以降は、最新技術が使われている。
実際に聞き比べてみると、どうだろうか。
レーザープレイヤーによるCDは、LPレコードから板起こしされたとは思えない程、ノイズが少ない。また、音に広がりとふくよかさが感じられる。ダイナミックレンジも広く感じられる。また、緻密な感触等も良い。印象としては、1952年のスタジオ録音に近い演奏の印象で、模範的である。
マグネトフォンオリジナルテープ盤の特色としては、音質がクリアでフレッシュである。音源がやや近づいたという印象も受ける。こちらの方が周波数レンジが広い感じもある。ダイレクトに演奏の感動が伝わってくる感じがある。但し、CD制作時点でオリジナル音源にリフレッシュな加工が行われた様な感じも受ける。本来は、レーザープレイヤーを再生した音がもともとの音ではないかとの印象も受ける。
これ以外に私は、ウラニアのエロイカでは、なくて1990年頃にメロディアがオリジナルテープからダイレクトカッティングしたLPを発売し、その直輸入盤も所有しているが、演奏の印象は、どちらかと言えば、マグネトフォンオリジナルテープに近い感じがある。但し、通常のLP盤再生で、しかも再生アンプが自作の管球CR型イコライザーでの再生なので、そのまま比較しては困るが、リアルな感じだと思う。
そういえば、レーザープレイヤーの再生に使用されているイコライザーアンプは、恐らく、トランジスターアンプだと思う。そうなれば、やはり、トランジスタ独特の音のザラザラ感が生じるので、どうしても聞き劣りする。
レーザーピックアップの機能はそのままに、管球イコライザーを使用したレーザープレイヤーが発売されれば、素晴らしいと思う。
いずれにしてもフルトヴェングラーファンは、マグネトフォンオリジナルテープ原盤のターラーレーベルとかその他のオリジナル原盤によるCDを保有しておれば、それだけで十分だと思う。
やはり、好事家が買う商品だという気がした。
また、この「レーザーピックアップによる板起こしCD」の最大の難点は、元となったLPレコードにどの版を使用したかの書誌学的な情報が記載されておらず、これでは、オーソライズされた録音資料として扱われる基本的要件に欠けている。原資料の所在を明らかにしなければ、ヒストリカル録音としての信頼性が失われてしまうからだ。
その点、オーパス蔵のSP、LP復刻CDは、良心的でSPの場合は、マトリクス番号、原盤の所在(所有者)等の情報まで正確に記録されている。
「ウラニアのエロイカ」というのは、1944年12月のウィーン学友協会が、同時、ドイツ帝国放送が実用化していたマグネトフォン(76㎝/秒で走行するモノラルテープレコーダーでウィーンムジークフェラインから録音装置が置かれたいた放送局までケーブルで中継された)収録されたテープが、ソビエト軍に接収され、それをソビエトのメロディアというレーベルが、海賊盤として、その録音を元にモノラルLPレコードを制作したもので、幻の名盤と呼ばれた。フルトヴェングラーによるベートーヴェンのエロイカは、1952年のEMIスタジオ収録が最もオーソライズされた録音で音質も良いとされて来た。しかし、この戦後録音のエロイカは、たしかに造形的な美しさ、演奏の完成度の高さはあるものの、晩年のフルトヴェングラーの演奏で、情熱とか生命力とか、自由な即興性とかそういった魅力に欠けている嫌いがあった。ところが、このウラニアのエロイカは、1952年盤に欠けている要素を全て備えていたので、瞬く間にファンの間で有名となったが、フルトヴェングラーの許可を得ずに発売された為に、裁判沙汰となった。
その後、ソビエト末期にモスクワ放送局に保管されていた大戦中のドイツから接収した録音ライブラリーのテープの中から大量のフルトヴェングラーの演奏が発見され、その中に、このウラニアのエロイカのオリジナルテープ録音も存在した。
それをデジタルコピーした録音が西側に送られて、CDとして発売された。それも何種類もあるが、写真の下のCDは、この様なデジタルリマスターされたテープを元に制作されたCDでフランス製のもの。
一方、今回、取りあげるのは、レーザープレイヤーで再生されたものをCD化した録音。
レーザープレイヤーは、日本の(株)エルプが実用化したもの。
http://www.laserturntable.co.jp/
その特徴としては、SP、EP、LPのアナログディスクにレーザー光線を照射してその反射波の明暗をアナログ信号として読み取るので、従来のレコードプレイヤーの様にレコード針やカートリッジは介在しない。
但し、読み取られた信号は、RIAAカーブやコロンビアカーブ等、レコード特有のイコライジング処理がされているので、それは、オリジナル信号に変換するエコライザー回路等を備えている。また、レコードの回転数の微調整等も可能である。
このプレイヤーで再生されたレコードの音は、限りなくレコードが刻み込まれたラッカー原盤に近い音質である。
但し、レコードカッティングの際に行われたリミッター・アッテネーター、イコライジング、ハイ・ローカット処理による音質の変質、更には、カッティング用ヘッドアンプ、カートリッジヘッドの歪み、熱雑音、ラッカー盤との接触ノイズ、カッティングテーブルのモーターの駆動音、雑音等は、そのまま再生される。
果たして、ドイツ帝国放送のデジタル孫コピーを原盤としたCDと、LP盤をレーザープレイヤーで「板起こし」したディスクの音質はどちらが良いのだろうかという問題がある。
ドイツ帝国放送のマグネトフォンデジタルコピー盤の欠点としては、
①発見された時点で録音されてから45年が経過しており、テープの劣化がかなり進んでいた。それは、転写、高域特性の劣化、雑音の増加等
②デジタルコピーが行われた1989年頃のデジタル技術では、DSD等の技術もなく、情報量自体が少ない可能性もある。
マグネトフォンデジタルコピー盤の長所としては、
①限りなくオリジナルテープに近い音質が得られる。
ということに尽きる。
一方、レーザープレイヤー再生ディスクの欠点としては、
①カッティング時に加えられた変更、ノイズ等の影響を受ける。
②レコード盤としてプレスされる際のメッキ原盤再生の時の音質劣化、塩化ビニール素材から析出する結晶がノイズ、音質低下の原因となる。
等が上げられる。
一方、長所としては、
①このレコードがカッティングされた当時は、音源テープは、それ程、経年変化が進んでいなかった。
②最新の技術でDSDマスターが制作され、96KHZPCMフォーマットに変換されるので、デジタル以降は、最新技術が使われている。
実際に聞き比べてみると、どうだろうか。
レーザープレイヤーによるCDは、LPレコードから板起こしされたとは思えない程、ノイズが少ない。また、音に広がりとふくよかさが感じられる。ダイナミックレンジも広く感じられる。また、緻密な感触等も良い。印象としては、1952年のスタジオ録音に近い演奏の印象で、模範的である。
マグネトフォンオリジナルテープ盤の特色としては、音質がクリアでフレッシュである。音源がやや近づいたという印象も受ける。こちらの方が周波数レンジが広い感じもある。ダイレクトに演奏の感動が伝わってくる感じがある。但し、CD制作時点でオリジナル音源にリフレッシュな加工が行われた様な感じも受ける。本来は、レーザープレイヤーを再生した音がもともとの音ではないかとの印象も受ける。
これ以外に私は、ウラニアのエロイカでは、なくて1990年頃にメロディアがオリジナルテープからダイレクトカッティングしたLPを発売し、その直輸入盤も所有しているが、演奏の印象は、どちらかと言えば、マグネトフォンオリジナルテープに近い感じがある。但し、通常のLP盤再生で、しかも再生アンプが自作の管球CR型イコライザーでの再生なので、そのまま比較しては困るが、リアルな感じだと思う。
そういえば、レーザープレイヤーの再生に使用されているイコライザーアンプは、恐らく、トランジスターアンプだと思う。そうなれば、やはり、トランジスタ独特の音のザラザラ感が生じるので、どうしても聞き劣りする。
レーザーピックアップの機能はそのままに、管球イコライザーを使用したレーザープレイヤーが発売されれば、素晴らしいと思う。
いずれにしてもフルトヴェングラーファンは、マグネトフォンオリジナルテープ原盤のターラーレーベルとかその他のオリジナル原盤によるCDを保有しておれば、それだけで十分だと思う。
やはり、好事家が買う商品だという気がした。
また、この「レーザーピックアップによる板起こしCD」の最大の難点は、元となったLPレコードにどの版を使用したかの書誌学的な情報が記載されておらず、これでは、オーソライズされた録音資料として扱われる基本的要件に欠けている。原資料の所在を明らかにしなければ、ヒストリカル録音としての信頼性が失われてしまうからだ。
その点、オーパス蔵のSP、LP復刻CDは、良心的でSPの場合は、マトリクス番号、原盤の所在(所有者)等の情報まで正確に記録されている。
PSPの文字入力機能は、悲惨 ― 2008/10/02 23:44
PSPとワンセグチューナーのセットがヨドバシで「本日限り」価格で\19,800で売っていたので、衝動買いしてしまった。
ゲーム機よりもモバイル端末としての魅力を感じた。
今までワンセグ等みたことなかったし、小型のTVと考えてもこの値段だと安いと思った。
それに、PSPは、無線LAN機能が使えるので、出先で簡単にインターネットに接続出来るので便利だと思った。
ところが実際には、無線LANの公開ポイントは、東京ではかなり普及しているが、大阪ではまだまだといった感じで、それぞれのサービスもエリアが狭いし、どうしようもない感じ。
NTTコミュニケーションズのホットポイントのおためしログインというのに入ってみたら、仮IDや仮パス(1週間有効)がメールで送られて来たが、これを出先でアクセスポイント(これが、駅前第3ビルのオートカフェという、貧相な自動販売機の設置ポイント根暗になる様な狭い場所。ゆっくりPSPを操作することも出来ない。)を探し出して、ポチポチと仮パスを入力するが、アルファベットの大文字、小文字と数字に複雑な組合せを、PSPの携帯よりも不便な文字入力システムでやろうとすると悲劇的な程の労力と時間がかかる。
また、一度、アクセスが切れたら、ウインドウズのブラウザの様に記憶させる様な気が利いた機能もないので、一々、この複雑なパスワードをその都度入れ直さなければならないというので、これは無理だと思った。
自宅で試してみようにも無線LANがないので、無線ルーターを大枚叩いて購入する羽目となった。
家では、簡単にインターネットに接続出来るが、やはり、オモチャのゲーム機なんで、速度等はそれなりで、使い物にはならない。
ワンセグの感度も低く、大阪から1時間半も電車でかかる家では、殆ど受信出来ない。
やっぱり、無駄遣いになってしまった。また、SONYなので、メモリもおまけについていたメモリスティックDUOなので、今や特殊とも言えるメモリカードのフォーマットなので、デジカメ写真を楽しんだり、ビデオファイル等も一々、コピーし直さなければならないので、これも不便。
ゲームソフトも少なそう。(信長の野望とか超太古の原始ゲーム等がボソボソとあるだけ。)
でも、ハードウエアは未来性を感じる。例えば、無線LAN以外の通信アダプターやUSBインターフェース等が使えれば、応用範囲は飛躍的に広がるだろう。
やはり、ソニーらしさというかハードウェアの一人歩きといった雰囲気の端末。
私、個人的には携帯よりも、この端末の方が好きである。
ナショナル、いやパナソニックがこんなの作ってくれたら、ずっと実用的なものが出来ると思う。
ゲーム機よりもモバイル端末としての魅力を感じた。
今までワンセグ等みたことなかったし、小型のTVと考えてもこの値段だと安いと思った。
それに、PSPは、無線LAN機能が使えるので、出先で簡単にインターネットに接続出来るので便利だと思った。
ところが実際には、無線LANの公開ポイントは、東京ではかなり普及しているが、大阪ではまだまだといった感じで、それぞれのサービスもエリアが狭いし、どうしようもない感じ。
NTTコミュニケーションズのホットポイントのおためしログインというのに入ってみたら、仮IDや仮パス(1週間有効)がメールで送られて来たが、これを出先でアクセスポイント(これが、駅前第3ビルのオートカフェという、貧相な自動販売機の設置ポイント根暗になる様な狭い場所。ゆっくりPSPを操作することも出来ない。)を探し出して、ポチポチと仮パスを入力するが、アルファベットの大文字、小文字と数字に複雑な組合せを、PSPの携帯よりも不便な文字入力システムでやろうとすると悲劇的な程の労力と時間がかかる。
また、一度、アクセスが切れたら、ウインドウズのブラウザの様に記憶させる様な気が利いた機能もないので、一々、この複雑なパスワードをその都度入れ直さなければならないというので、これは無理だと思った。
自宅で試してみようにも無線LANがないので、無線ルーターを大枚叩いて購入する羽目となった。
家では、簡単にインターネットに接続出来るが、やはり、オモチャのゲーム機なんで、速度等はそれなりで、使い物にはならない。
ワンセグの感度も低く、大阪から1時間半も電車でかかる家では、殆ど受信出来ない。
やっぱり、無駄遣いになってしまった。また、SONYなので、メモリもおまけについていたメモリスティックDUOなので、今や特殊とも言えるメモリカードのフォーマットなので、デジカメ写真を楽しんだり、ビデオファイル等も一々、コピーし直さなければならないので、これも不便。
ゲームソフトも少なそう。(信長の野望とか超太古の原始ゲーム等がボソボソとあるだけ。)
でも、ハードウエアは未来性を感じる。例えば、無線LAN以外の通信アダプターやUSBインターフェース等が使えれば、応用範囲は飛躍的に広がるだろう。
やはり、ソニーらしさというかハードウェアの一人歩きといった雰囲気の端末。
私、個人的には携帯よりも、この端末の方が好きである。
ナショナル、いやパナソニックがこんなの作ってくれたら、ずっと実用的なものが出来ると思う。
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