実に面白いタマゴウ仏寺遺跡2008/04/22 00:10

 昨日は佛教大学四条センターで、「シルクロード西域南道の新発見壁画」というテーマで佛教大学の安藤佳香先生の講演を聴いた。
 圧巻だったのは、やはりタマゴウ(新彊策勒県達馬溝)仏寺跡遺跡。
 タマゴウ遺跡は、北緯36度56分、東経81度5分でこの場所をgoogleearthで探索してみたら、解像度があまりないので、何か建物の様な隆起物があるにはあるが、遺跡としては確認出来なかった。周囲の風景を再現してみたのが図である。
 この遺跡の中心となっている仏寺は、南北2メートル、東西1.7メートルの御堂であり、北壁には、如来像の下半身のみが残されている。(NHKの新シルクロードでも放映された)
今回は、更に発掘を進めた結果、蓮台の部分、更に、その下には荘厳が見られる事、更に西壁の壁画等、御堂全体が、壁画等の荘厳が施されていた事が判った。
 壁画の上部は、剥がれ落ちているが、幸いにも如来の頭部の断片等が残されており、それらは、独特の描線で描かれている。
 如来、菩薩等の表現は、西域様式とも言えるもので、特に、護法童子?は、特異な姿で描かれている。髪型が弁髪とモンゴル風が組み合わさった様な独特のものであるのも興味深かった。
 また、壁画の仏像の描線は鉄線描と呼ばれるもので、法隆寺の壁画にも共通がある。
 この他にも仏像荘厳関係について、様々な発見事例が紹介され、蓮華化生やグプタ朝唐草文様等も見られ、インド→西域→日本と連綿と仏の生命力を発揮する為の装飾法が伝播している有り様等が興味深かった。
 それよりも、安藤先生が「板に眼が一杯に描かれています。」と言われたものの正体(写真左)が知りたく、昨年の秋に日中共同シルクロード学術研究国際シンポジウムでの巫新華氏によるレジュメでタマゴウ遺跡の紹介されている中の「千眼仏」の木像パネルであることが判った。
 但し、千眼仏は、通常は、千手千眼仏として造像されるが、この場合は、眼が大量に描かれている上に如来が結跏趺坐している図案なので、果たして、これが千眼仏であるかは判らない。何か他の表現意図があるのかも知れない。
 「目玉のお化け」と言い、様々なこれまで見たことのない仏教文化の遺跡が、これらの天山南路からは、発見されるだろう。西域仏教芸術の探求は、これから始まったばかりなんだから。

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