中尊寺阿弥陀仏の号が抜けて台無しに2008/04/26 18:33

 講談社「日本の仏像シリーズ」も、もう終わり近い№46が刊行されており、時の経過の早いこと。
 全巻予約購読等しない方が良かったかなという事が数回あった。
 一番残念なのは、№31「中尊寺金色堂の阿弥陀如来と平泉」が、他のお寺の仏様に変更されてしまったことで、こうなると、もう全集としての価値がなくなってしまう。
 このシリーズの仏像の写真は、オリジナル撮り下ろしということだが、例えば売り物の原寸大仏像の場合は、本当に原寸大に解像度が上がったのではなくて、ただ単に引き延ばしただけ。
 だから、ザラザラの画像を拡大してみせられても汚いという印象をもつだけ。
 やはり仏像は、離れてみるものだという事になる。
 また、大きさを示すために等身大の人間図が比較として掲載されているが、無用。
 写真で大体の大きさは推測出来るし、解説に大きさを書いておけばよい。
 最悪なのは復元想像図という代物で、下品な金色というか印刷の発色が凄く悪いので、黄色っぽく写っているので、これも要らない。
 役に立ったのは、中尊寺阿弥陀三尊を除いて、主要な仏様の画像が全て揃えられる点であり、これは、例えば、仏像彫刻史やセミナー等の講義で安藤先生が指摘されたが、図像が示されなかったものについては、メモっておいて、帰宅してから確認するのに何度か役にたったこと。
 お寺の境内の訪問方法や、周辺にあるお寺に安置されている仏像も収録されており、この点が一番評価出来る。
 つまり、仏像に限らず、仏教芸術は地域性が主役であり、その地域に根づいた仏教信仰の様子をこれらの付近の寺院関係図や地形図をみる事で知る事が出来る点である。
 全50巻で3万円という金額が高いか安いかという事になるが、こんなものかも知れないと思うが、中尊寺阿弥陀仏が抜ける事を知った時、お金を返して欲しいから中途解約してもらえないか思った位。
 それにしても、日本の色々な仏像を眺めて来たが、阿弥陀如来は、それなり均整がとれた美しさがあるが、今回の薬師三尊を見ても、オッサン風の体型、ドスの効いた顔、表情等、薬師如来の姿は、独特なものがある。こうした理由についても考えてみる価値があるのではないかと考えている。

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