プロメテウスの火 ― 2009/05/17 22:56
私の様なおとな子供が愛好するアニメ番組として、「未来少年コナン」がある。
1978年にNHKからこの番組が放映された時、「ああ、そうだったんだ。」と妙に納得した。
つまり、「明るい未来には暗い影がある。暗い影を持たない希望なんてないんだ。」ということをこのアニメを見て覚った。
当時は、未来学というのはなかった(1980年に、こういった方向性の学問が黎明期を迎える)が、産業資本主義の影響で、科学や資本が発展すれば、する程、明るい未来が開けていく様なユートピア論が、当時は、幅を効かせている一方、ベトナム敗戦、ヒッピー、フォークソング、ハードロックといった反体制的な動きはあるが、それらは、反動的な感じで、あまり、知性を感じなかった。(私は、ビートルズやフォーク、反戦運動が嫌いであった。そういったものに憧れる同年代の青年達になじめず、クラシック音楽を聴きながら部屋に引きこもる孤独の高校3年生だったと思う。)
原作は、アレクサンダー・ケイで「残された人々」という作品。1970年に発表された。恐らく執筆期間は、1960年代末であり、脳天気にやる気があれば、未来が開けるといった「アメリカの理想」がニクソン政権によって壊されていった時代であった。
実は、この作品には、キーワードがある。
それが、「太陽光発電」である。
このアニメ作品の最後の方に登場する。
インダストリアのエネルギーは原子力に頼り、底を尽きかけていた。そこで、巨人機ギガントを蘇らせるのに必要な為に、レプカが復活を目論むのが、太陽エネルギーである。
ラオ博士によって、地殻変動で水没するこの最後の文明都市から市民を非難させる為に復活させられるのが、太陽エネルギーで、インダストリアの中央に廃墟の様にそびえ立つ三角塔は、この太陽エネルギーの増幅装置であった。
ラオ博士の指示で座標を入れると、そこに、人工衛星が現れる。衛星から強力な光が照射され、三角塔は太陽塔として、蘇る。原子力発電所の1年分の発電量がわずか1時間で産み出される......
私は、このアニメをみて、「ここだけがインチキなんだ。」とがっかりしていた。しかし、これは、事実だった。
原作者、アレクサンダー・ケイが「残された人々」を執筆中の1968年に、「宇宙太陽光発電」の構想・理論が発表された。
このことは、5月17日付の日経新聞に掲載されている。
おそらく、作者は、この構想にヒントを得たのでだろう。日経新聞の記事によると、地球で人類が消費する1万倍もの太陽エネルギーが太陽光を集める衛星(2015年打ち上げ)でマイクロ波やレーザー光に変換して、地上の受信設備に送信する。マイクロ波やレーザー光は、大気の影響もそれ程受けず、地球表面に到達する。宇宙発電所は、静止軌道上に設置されると、昼夜関係なく地上にエネルギーを送信しつづけられる。1基の人工衛星で大型原子力発電所並みの100万キロワットのエネルギー電力が瞬時に得られるという。地上での受信基地は、陸上や海洋も計画されている。海洋では、レーザー変換エネルギーにより、燃料電池の原料となる水素が生産出来るという。今年11月には、基幹技術であるマイクロ波によるエネルギー送信実験をハワイマウイ島で実施する。最終的には、月面で発電する構想もあり、清水建設が取り組んでいる。
「未来少年コナン」の世界が現実化しようとしている。
「嘘ではなかったんだ!」
核融合のエネルギー変換と蓄積が実現すれば、まさにプロメテウスの火になるかもしれない。
***但し、悪用されれば、人類の破滅につながるのである。***
1978年にNHKからこの番組が放映された時、「ああ、そうだったんだ。」と妙に納得した。
つまり、「明るい未来には暗い影がある。暗い影を持たない希望なんてないんだ。」ということをこのアニメを見て覚った。
当時は、未来学というのはなかった(1980年に、こういった方向性の学問が黎明期を迎える)が、産業資本主義の影響で、科学や資本が発展すれば、する程、明るい未来が開けていく様なユートピア論が、当時は、幅を効かせている一方、ベトナム敗戦、ヒッピー、フォークソング、ハードロックといった反体制的な動きはあるが、それらは、反動的な感じで、あまり、知性を感じなかった。(私は、ビートルズやフォーク、反戦運動が嫌いであった。そういったものに憧れる同年代の青年達になじめず、クラシック音楽を聴きながら部屋に引きこもる孤独の高校3年生だったと思う。)
原作は、アレクサンダー・ケイで「残された人々」という作品。1970年に発表された。恐らく執筆期間は、1960年代末であり、脳天気にやる気があれば、未来が開けるといった「アメリカの理想」がニクソン政権によって壊されていった時代であった。
実は、この作品には、キーワードがある。
それが、「太陽光発電」である。
このアニメ作品の最後の方に登場する。
インダストリアのエネルギーは原子力に頼り、底を尽きかけていた。そこで、巨人機ギガントを蘇らせるのに必要な為に、レプカが復活を目論むのが、太陽エネルギーである。
ラオ博士によって、地殻変動で水没するこの最後の文明都市から市民を非難させる為に復活させられるのが、太陽エネルギーで、インダストリアの中央に廃墟の様にそびえ立つ三角塔は、この太陽エネルギーの増幅装置であった。
ラオ博士の指示で座標を入れると、そこに、人工衛星が現れる。衛星から強力な光が照射され、三角塔は太陽塔として、蘇る。原子力発電所の1年分の発電量がわずか1時間で産み出される......
私は、このアニメをみて、「ここだけがインチキなんだ。」とがっかりしていた。しかし、これは、事実だった。
原作者、アレクサンダー・ケイが「残された人々」を執筆中の1968年に、「宇宙太陽光発電」の構想・理論が発表された。
このことは、5月17日付の日経新聞に掲載されている。
おそらく、作者は、この構想にヒントを得たのでだろう。日経新聞の記事によると、地球で人類が消費する1万倍もの太陽エネルギーが太陽光を集める衛星(2015年打ち上げ)でマイクロ波やレーザー光に変換して、地上の受信設備に送信する。マイクロ波やレーザー光は、大気の影響もそれ程受けず、地球表面に到達する。宇宙発電所は、静止軌道上に設置されると、昼夜関係なく地上にエネルギーを送信しつづけられる。1基の人工衛星で大型原子力発電所並みの100万キロワットのエネルギー電力が瞬時に得られるという。地上での受信基地は、陸上や海洋も計画されている。海洋では、レーザー変換エネルギーにより、燃料電池の原料となる水素が生産出来るという。今年11月には、基幹技術であるマイクロ波によるエネルギー送信実験をハワイマウイ島で実施する。最終的には、月面で発電する構想もあり、清水建設が取り組んでいる。
「未来少年コナン」の世界が現実化しようとしている。
「嘘ではなかったんだ!」
核融合のエネルギー変換と蓄積が実現すれば、まさにプロメテウスの火になるかもしれない。
***但し、悪用されれば、人類の破滅につながるのである。***
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