毎回、読むのを楽しみにしているがブレている ― 2010/06/11 09:00
佛大ワールド6月号が公開された。
http://www.bunet.jp/world/index.html
毎回、読むのを楽しみにしている。以前は、大学から送られてきた佛大通信のトピックスをまとめたものである。
①月々の名言
俳句の世の権威であられる坪内稔典先生による田山花袋論である。日露戦争の時代背景の中でも、上昇志向を諦めざるを得なかったこんな若者達がいたこと。結核を病みやがては、力尽きて死んでいく。
現代の若年層のワーキングプアの悲惨な実態にオーバーラップされる描写である。
貧乏を覆い隠して、建前、綺麗事のみ拘る政府と企業であったのは、戦前の帝国主義日本も偽善民主主義の現代日本も同様である。
今朝のニュースでやっていた様にアジアの若者達は、まことに正直である。
アニメや文化面では、日本を評価しながらも、経済、金融、科学技術は、もはや日本に学ぶべきものは、なくなり、目は中国に向いている。
綺麗事に拘ってきたツケが回ってきたのである。
「世界の三流国」への再転落である。
②お散歩京都学
田中みどり先生の久しぶりの登場である。この人は、日本語の発音は独特であると思っていたが、先日、平安時代の発音を復元した録音を聴いたが、イントネーションは、まるで田中先生の様だった。
田中先生は、伊勢のご出身なので、決して畿内ではない。しかし、日本語学、特に古代語を熱心に研究されて、その成果がコトバの発音にも現れている。
先生は、日本語を正しく発音されているのである。
今回は、雅楽についての取材だが、雅楽について、全てキチンと説明、解説するには、あまりにも紙面が限定され過ぎ、笙についての解説が中心であった。煤竹についてや、あるいは、リードという金属片、演奏中、演奏後、火鉢での乾燥等の説明が面白い。
雅楽器博物館館長の山田氏へのインタビュー記事であった。僕も行ってみたいと思った。
③私のこの一冊
『民藝40年』柳宗悦著について、教育学部の先生が解説されている。美術教育と民藝、生活の中での美というのがテーマである。
⑤朝の宗教行事から
公共政策学科の林先生のお話
マズローの欲求5段階説を例に、人生の価値観の見つけ方についての考えを述べられている。
「生き甲斐」をみつける為には、自己認識が必要だが、それが一番難しいことであり、大抵の人間は、僕の様に幻滅を感じるのである。
これに立ち向かえる意欲、生命力を持ち続けることは非常に難しい。
⑥鷹陵の栞
斉藤先生の本居宣長についての解説・カンソウ文である。
斉藤先生も畿内の人間ではないので、関西文化、日本の古代、平安文化を肌で理解することは出来ない。
従って理屈での理解になる。本居宣長も同様に畿内の人間ではなく、現代よりも江戸時代の文化の落差は大きく、上京して学ぶにも大変なことだったと思う。
前半は、宣長の京都遊学、後半は、源氏物語の「もののあはれ」について。しかし、この「もののあはれ」というコトバは、源氏物語本文中には出てこない。近世以降の価値観、概念であったことに気づくべき。
この件については、前述の田中みどり先生も佛大国文学会総会後の懇親会で述べられていたことを記憶している。
つまり、王朝文学を理屈で理解しようとすると、新たな分析的価値観を導入する必要があり、それは、結局、新たな価値観を象徴する「新造語」を創作する必要があり、江戸時代の人達は、それを旨くやってのけた為に、その理解と解釈に普遍性を獲得し、近世以前には、一部の堂上の人達のものであった源氏物語の庶民的理解を可能にしたのである。
末尾に書かれている宣長が阿弥陀経を読んでいた話は面白いが、当然である。彼の著作を呼べば判る。漢籍、仏典の詳細の分析と理解に基づいて日本古来のコトバと文化の分析を試みているから当然。
隠れ仏教徒であったのではない。
隠れて読んでいたのではない。このことは、「うゐ山ぶみ」にも書かれている。
この他、学部長の手帳やら表紙ストーリーとか、これだけ盛りだくさんの内容を持っている通信教育の機関誌はないと思う。
でも、これって、今の佛大通信教育の学生さんのニーズからブレテいるのではないだろうか。大部分が教職履修、資格取得の為に大学に来ているので、もっと現実社会、現代社会に関連する情報、内容について記載された方が良いでしょう。
例えば、佛教大学と提携している学校で、どの様に生徒達が学習しているかとかどの様な問題が生じているのか。医療の現場とか色々あると思う。
さっきも裏のおうぶ中学校で、教育実習の先生が期間を終えられて帰られるので、その挨拶が行われていた。
教育実習は、学生さんにとっては、不安である。実際に実習の現場を取材して、少しでも、その不安を取り除ける様な記事等があれば、実用的だと思う。
佛大ワールドは、僕にとっては、非常に価値があり面白いが、他の学生さんにとっては、どうだろうか。
読者アンケート調査でもやってみたら良いと思う。
恐らく、大部分の学生さんは、読んでおらず、履修に関連する実用的な部分にのみ目を通しておられるのだと思う。
僕の様な興味本位の部外者が喜んでいてもしかたがない。
http://www.bunet.jp/world/index.html
毎回、読むのを楽しみにしている。以前は、大学から送られてきた佛大通信のトピックスをまとめたものである。
①月々の名言
俳句の世の権威であられる坪内稔典先生による田山花袋論である。日露戦争の時代背景の中でも、上昇志向を諦めざるを得なかったこんな若者達がいたこと。結核を病みやがては、力尽きて死んでいく。
現代の若年層のワーキングプアの悲惨な実態にオーバーラップされる描写である。
貧乏を覆い隠して、建前、綺麗事のみ拘る政府と企業であったのは、戦前の帝国主義日本も偽善民主主義の現代日本も同様である。
今朝のニュースでやっていた様にアジアの若者達は、まことに正直である。
アニメや文化面では、日本を評価しながらも、経済、金融、科学技術は、もはや日本に学ぶべきものは、なくなり、目は中国に向いている。
綺麗事に拘ってきたツケが回ってきたのである。
「世界の三流国」への再転落である。
②お散歩京都学
田中みどり先生の久しぶりの登場である。この人は、日本語の発音は独特であると思っていたが、先日、平安時代の発音を復元した録音を聴いたが、イントネーションは、まるで田中先生の様だった。
田中先生は、伊勢のご出身なので、決して畿内ではない。しかし、日本語学、特に古代語を熱心に研究されて、その成果がコトバの発音にも現れている。
先生は、日本語を正しく発音されているのである。
今回は、雅楽についての取材だが、雅楽について、全てキチンと説明、解説するには、あまりにも紙面が限定され過ぎ、笙についての解説が中心であった。煤竹についてや、あるいは、リードという金属片、演奏中、演奏後、火鉢での乾燥等の説明が面白い。
雅楽器博物館館長の山田氏へのインタビュー記事であった。僕も行ってみたいと思った。
③私のこの一冊
『民藝40年』柳宗悦著について、教育学部の先生が解説されている。美術教育と民藝、生活の中での美というのがテーマである。
⑤朝の宗教行事から
公共政策学科の林先生のお話
マズローの欲求5段階説を例に、人生の価値観の見つけ方についての考えを述べられている。
「生き甲斐」をみつける為には、自己認識が必要だが、それが一番難しいことであり、大抵の人間は、僕の様に幻滅を感じるのである。
これに立ち向かえる意欲、生命力を持ち続けることは非常に難しい。
⑥鷹陵の栞
斉藤先生の本居宣長についての解説・カンソウ文である。
斉藤先生も畿内の人間ではないので、関西文化、日本の古代、平安文化を肌で理解することは出来ない。
従って理屈での理解になる。本居宣長も同様に畿内の人間ではなく、現代よりも江戸時代の文化の落差は大きく、上京して学ぶにも大変なことだったと思う。
前半は、宣長の京都遊学、後半は、源氏物語の「もののあはれ」について。しかし、この「もののあはれ」というコトバは、源氏物語本文中には出てこない。近世以降の価値観、概念であったことに気づくべき。
この件については、前述の田中みどり先生も佛大国文学会総会後の懇親会で述べられていたことを記憶している。
つまり、王朝文学を理屈で理解しようとすると、新たな分析的価値観を導入する必要があり、それは、結局、新たな価値観を象徴する「新造語」を創作する必要があり、江戸時代の人達は、それを旨くやってのけた為に、その理解と解釈に普遍性を獲得し、近世以前には、一部の堂上の人達のものであった源氏物語の庶民的理解を可能にしたのである。
末尾に書かれている宣長が阿弥陀経を読んでいた話は面白いが、当然である。彼の著作を呼べば判る。漢籍、仏典の詳細の分析と理解に基づいて日本古来のコトバと文化の分析を試みているから当然。
隠れ仏教徒であったのではない。
隠れて読んでいたのではない。このことは、「うゐ山ぶみ」にも書かれている。
この他、学部長の手帳やら表紙ストーリーとか、これだけ盛りだくさんの内容を持っている通信教育の機関誌はないと思う。
でも、これって、今の佛大通信教育の学生さんのニーズからブレテいるのではないだろうか。大部分が教職履修、資格取得の為に大学に来ているので、もっと現実社会、現代社会に関連する情報、内容について記載された方が良いでしょう。
例えば、佛教大学と提携している学校で、どの様に生徒達が学習しているかとかどの様な問題が生じているのか。医療の現場とか色々あると思う。
さっきも裏のおうぶ中学校で、教育実習の先生が期間を終えられて帰られるので、その挨拶が行われていた。
教育実習は、学生さんにとっては、不安である。実際に実習の現場を取材して、少しでも、その不安を取り除ける様な記事等があれば、実用的だと思う。
佛大ワールドは、僕にとっては、非常に価値があり面白いが、他の学生さんにとっては、どうだろうか。
読者アンケート調査でもやってみたら良いと思う。
恐らく、大部分の学生さんは、読んでおらず、履修に関連する実用的な部分にのみ目を通しておられるのだと思う。
僕の様な興味本位の部外者が喜んでいてもしかたがない。
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