橛(ケツ)による地鎮祭(追記・修正)2008/11/02 21:26

IXYDIGITAL70で撮影。
 写真は、密教の地鎮祭で使用された橛(ケツ)という法具(中央の棒)である。
 下は、仏教の転輪聖王(チャクラヴァルティラージャン)を象徴し、威力の象徴とも言える法輪(輪宝)である。
 京都市考古資料館に展示されているもので、1070年代の平安後期のものであるが、これと同じ法具が平成15年に江戸時代の六本木の毛利藩邸跡から出土しており、17世紀頃のものと言われている。
 輪宝は同じく8角形であり、平安京のものとは異なり、角毎に突起が出ている。
 平安京と同様に土器類と共に出土している。但し、異なるのは、銅銭が一緒に埋められている点である。
 地鎮祭は、中世頃までは、密教形式であったのが、近世以降は、徐々に神道の形式に改められていった。
 神道の地鎮祭は、神饌として幣を祀るが、神仏習合後も、続いていた密教形式の地鎮祭と融合して、銅銭を祀るようになったのか(未確認)。
 神式の場合は、地霊を鎮め、悪霊を祓うことが主眼であるが、 密教の場合は、真言宗の地鎮祭等、色々あるが、不動明王を本尊として行う鎮宅不動法等が知られている。
 密教の場合は、地霊を鎮める点は、神式と共通しているが、仏宝を土地に浸透させ、同化させるということが目的なので、地面に輪宝を置くではないだろうか。(追記を見よ)

 今回、eラーニングの考古資料館の展示で特に目についたものである。

追記

金剛密教では、

「印明は十八道の如し。 大金剛輪の壇の上に橛(けつ)を立て地の大小を定め結界する義なり。」 金剛密教の最強の「結界術」であると記述がある。

更に、強力な結界を張るには、「地界の量に随って四方に金剛檣を上げ、三鈷金剛を交え立てたる結界」とあり、これらを不動明王に結界術と呼ばれているようだ。

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