河童忌2010/07/24 17:21

 今日は、河童忌である。

 大量のベロナールとジェノアルを服薬して、芥川龍之介は、なくなった。
 絶望的な昭和という時代が始まって以来の2年間、彼は、「死のうか、死のうか」と悩み続けたという。
 写真は、芥川龍之介全集の第4巻。
 昭和2年11月30日に発行された初版本である。
 実家の書庫の近代文学のコーナーからほこりまみれの本を取り出してきた。
 この本を手に取るのは、何年ぶりだろう。


 彼の自殺からわずか4ヶ月後には、全集が発行されたのも歴史的な出来事である。
 第4巻には、「河童」以外の作品としては、「大導寺信輔の半生」、「或阿呆の一生」、「年末の1日」、「蜃気楼」、「たね子の憂鬱」等々合計45作品が収載されている。
 

 「年末の1日」が一番好きだ。短い作品だが、冬の墓地の情景が描かれている。彼の死との向き合い方を知ることが出来る。
 彼は、昭和の文学界に大きな影響を与えたが、同時に、昭和という時代の暗さと絶望感を予感していたのだ。
 僕は、これから、この古いボロボロの全集の一巻を今から読み直してみることにする。


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