面白いけれど、従来の人文学的な取り組み方に軍配が上がる様な気がしてならない2009/11/22 23:06

 アマテラスの岩戸隠れの伝承が古事記や日本神話にも記述されているが、11/21土曜日に放送された世界不思議発見で、247年の日没時の日食、248年に日出時の日食が関連しており、更にこれは、卑弥呼の没年、台与の即位年に結びついているという。

 日本神話に描かれている時代が西暦年代でどの年代に当て嵌まるかという点で、紀元1世紀から3世紀の間では、158年の7月13日と、247年3月24日及び248年の9月5日しかなかったという。(日本列島)

 下記はNASAのデータベースの検索出力結果。

http://eclipse.gsfc.nasa.gov/SEatlas/SEatlas1/SEatlas0241.GIF

 従って世界不思議発見も、安本美典氏も同様説である。
(懐かしいお名前!、僕の修論でも先生の学説・源氏物語の計量学的測定法を一部引用させていただいている。)

 ただし、神話学の立場からみれば、別に日食年代に拘らなくても、環太平洋一帯の文化圏の中で、日食神話が存在するので、必ずしも、この2回の日食と卑弥呼の関連がなくても、日本神話の中に天の岩戸伝承が成立出来る余地は十分にあると思う。

 卑弥呼の没年と台与の即位年との関連についても、本当に関連しているのか、正確な年代考証等を踏まえて十分に検証していかないとこじつけ説となる可能性もある。

 更に不思議発見は、これらの事実を持って、巻向遺跡や箸墓の考古年代測定と関連づけて、邪馬台国=ヤマト説を出しているが、これも、実際には、直接・決定的な根拠はない。

 現在の考古学の年代測定、年輪測定等はかなり正確なデータは出るが、1~2年の誤差は出るからである。更に使用木材の伐採年と遺跡の年代とも誤差がある。

 「科学的」という名の元に仕立て上げられた1つの仮説に過ぎない。

 面白いけれど、従来の人文学的な取り組み方に軍配が上がる様な気がしてならない。

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