300Bでは、ブラームスのソナタは確かに説得力があって聞こえるが、フランス近代とかバッハ等は、どうだろうか ― 2009/11/22 22:11
今日は、ちょうど10年前に組み立てた300B真空管アンプに灯を入れてみた。20世紀の最後の年に作られたアンプである。
エレキットのTU-300B(初期バージョン)で、組み立てには、基盤を使用する。価格は、5万円位だったと思う。
基盤に直接、真空管のソケットを半田付けしているキットなので、どうしても真空管の熱の影響を受けてしまう。
熱で膨張と収縮を繰りかえして樹脂の部分が劣化し、基盤に張り付いている銅メッキ部分が剥がれてしまうのである。
だから、耐久性の面で問題があると思ったが、なんとか持ち堪えている。
ただし、1回修理とNON-NFBに改造をしている。
NON-NFBにすると高域特性が落ちるが、より300Bらしい音が聴ける。基盤からNFB回路用の抵抗を抜き取るだけである。
修理は、300Bのバイアスコンデンサがどうゆう訳か電圧に耐えきれず破裂し、高電圧タイプに交換。
もともとの基盤の部品は、ニチコンの耐電圧ギリギリのものだったので、これでは、何か一時的に高電圧がかかった場合に破裂する可能性もあると思った。
その後は、無事に動いていてくれて、修理はしていないが、コンデンサ破裂事故の影響か、中国製の300B(もともとキットについていたもの)の片方の調子が悪くなったので、ソブテック製に交換。ペアでたしか1万5千円位。今では、こんな値段で300Bは買えない。
この修理は、8年位前だから、その後は、ずっと無難で来ていることになる。電圧増幅管のソケットの接触が悪い位のもの。
電子製品で10年位たつと、電解コンデンサーの性能が落ちてくるので交換が必要になってくるが、最近、大阪日本橋のパーツショップでも真空管アンプ用の高電圧タイプのコンデンサが殆ど販売されていないので保守が困難になった。
300Bは、2A3と一緒の直熱管(3極管)と呼ばれるもっとも原始的なタイプで、戦前に開発された。4本足ソケット。この足をソケットに差し間違えると大切な真空管がおしゃかになる。
直熱管の音は、GT管やMT管等の近代真空管に比べて、素直で素朴であると言える。
僕たちの世代は、子供時代は、真空管時代でGT管、MT管全盛期で、カラーTVでさえ真空管で動いていた時代。
だから、GT管、MT管の方がいわゆる「真空管の音色」でレトロ感があるが、直熱管・ST管の音は、最近の製造技術・回路技術(特に直流点火・IC等を利用した定電圧回路)のおかげで、こちらの方が何か、新しく聞こえる。
2A3も、こちらは、回路設計からシャーシー加工まで完全自作のものを組み立てた。ちなみにこの300Bも2A3もシングル回路。これ以外に高級品・大出力タイプで、プッシュプルという電力増幅管をステレオで4本使用したタイプもある。
2A3も300Bも開発年代は近く、どちらも直熱管であるが、そのスタイル、音色から、2A3は、「球女王」、300Bは、「球王」と呼ばれている。
2A3は、この写真の300Bよりもスラリとしたタイプである。同じ楓マークのソブテック(ロシア製)を使用しているが、繊細(分解能が良い)、レンジ感が広く、ややハイ(高音)のバランスが高く、ハイファイな音がする。
一方、300Bは同じソブテックでも、高音の繊細さやレンジ感はないが、重心が下の方にあるグラマラスかつゴージャスな音が特徴。300Bは昔からトーキー映画のアンプに映画館等で使用されていたが、たしかに映画や映画音楽、ジャズ等に向いた感じだと思う。
ジャズは絶対300Bだと思う。
私の場合、最近、部屋が狭くなって、やむなくデノン製の小型SPを使用しているので、トーンコントロールでバランスを補正しないとクラシック音楽等はまともに聴けないので、デノンのプリメインアンプからプリアウトの出力を300Bアンプにつないで聴いている。
やはりLPレコードを聴きたいもので、DL103RというDENON製カートリッジなので、自作の昇圧トランスを通して、デノンのプリメインのフォノイコライザーで増幅されてライン出力させている。
さすが、総て同一メーカー、デノンのカートリッジ、プリアンプ、SPシステムなので、バランスが採りやすく落ち着いた再生音である。
その中で、300B管球パワーアンプが縁の下の力持ちで音楽を支えている。今日は、LPレコードは、3枚位聴いた。雨の日なので、江藤俊哉さんのヴァイオリンによるブラームスのヴァイオリンソナタ1番等を最初に聴いた。
やはり、ヴァイオリンの再生音は、LPレコードに限る。1979年の録音だが、エルマンを彷彿とさせるガルネリウス・デルジェスの音が部屋一杯に広がる。
300Bでは、ブラームスのソナタは確かに説得力があって聞こえるが、フランス近代とかバッハ等は、どうだろうか。少し、疑問に残った。
その後、フルトヴェングラーのブライトクランク(疑似ステレオ)のベートーヴェンのシンフォニーやリストの交響詩レ・プレリュードを聴く。
フルトヴェングラーの命日が近づいている。
実に雄大、深遠な音場が広がる。ステレオよりもずっとステレオらしい。
その後、音源をCDに切り換えて色々と聞いた。エルネスト・アンセルメによるサンサーンスとフランクの交響曲。ノリントン指揮のモツレクやアベ・ベルム・コルプス、葬送行進曲、ムラビンスキー レニングラード交響楽団のショスターコビッチの交響曲第4番や第6番(戦後直ぐのモノラルでメロディア盤)を聴く。
CDの場合は、LPに比べてやはり、音の広がりが今ひとつ。案外にノリントンの演奏が300Bでは、メリハリ良く再生されていた。
このアンプを今後も大事に使用していこうと思っている。
エレキットのTU-300B(初期バージョン)で、組み立てには、基盤を使用する。価格は、5万円位だったと思う。
基盤に直接、真空管のソケットを半田付けしているキットなので、どうしても真空管の熱の影響を受けてしまう。
熱で膨張と収縮を繰りかえして樹脂の部分が劣化し、基盤に張り付いている銅メッキ部分が剥がれてしまうのである。
だから、耐久性の面で問題があると思ったが、なんとか持ち堪えている。
ただし、1回修理とNON-NFBに改造をしている。
NON-NFBにすると高域特性が落ちるが、より300Bらしい音が聴ける。基盤からNFB回路用の抵抗を抜き取るだけである。
修理は、300Bのバイアスコンデンサがどうゆう訳か電圧に耐えきれず破裂し、高電圧タイプに交換。
もともとの基盤の部品は、ニチコンの耐電圧ギリギリのものだったので、これでは、何か一時的に高電圧がかかった場合に破裂する可能性もあると思った。
その後は、無事に動いていてくれて、修理はしていないが、コンデンサ破裂事故の影響か、中国製の300B(もともとキットについていたもの)の片方の調子が悪くなったので、ソブテック製に交換。ペアでたしか1万5千円位。今では、こんな値段で300Bは買えない。
この修理は、8年位前だから、その後は、ずっと無難で来ていることになる。電圧増幅管のソケットの接触が悪い位のもの。
電子製品で10年位たつと、電解コンデンサーの性能が落ちてくるので交換が必要になってくるが、最近、大阪日本橋のパーツショップでも真空管アンプ用の高電圧タイプのコンデンサが殆ど販売されていないので保守が困難になった。
300Bは、2A3と一緒の直熱管(3極管)と呼ばれるもっとも原始的なタイプで、戦前に開発された。4本足ソケット。この足をソケットに差し間違えると大切な真空管がおしゃかになる。
直熱管の音は、GT管やMT管等の近代真空管に比べて、素直で素朴であると言える。
僕たちの世代は、子供時代は、真空管時代でGT管、MT管全盛期で、カラーTVでさえ真空管で動いていた時代。
だから、GT管、MT管の方がいわゆる「真空管の音色」でレトロ感があるが、直熱管・ST管の音は、最近の製造技術・回路技術(特に直流点火・IC等を利用した定電圧回路)のおかげで、こちらの方が何か、新しく聞こえる。
2A3も、こちらは、回路設計からシャーシー加工まで完全自作のものを組み立てた。ちなみにこの300Bも2A3もシングル回路。これ以外に高級品・大出力タイプで、プッシュプルという電力増幅管をステレオで4本使用したタイプもある。
2A3も300Bも開発年代は近く、どちらも直熱管であるが、そのスタイル、音色から、2A3は、「球女王」、300Bは、「球王」と呼ばれている。
2A3は、この写真の300Bよりもスラリとしたタイプである。同じ楓マークのソブテック(ロシア製)を使用しているが、繊細(分解能が良い)、レンジ感が広く、ややハイ(高音)のバランスが高く、ハイファイな音がする。
一方、300Bは同じソブテックでも、高音の繊細さやレンジ感はないが、重心が下の方にあるグラマラスかつゴージャスな音が特徴。300Bは昔からトーキー映画のアンプに映画館等で使用されていたが、たしかに映画や映画音楽、ジャズ等に向いた感じだと思う。
ジャズは絶対300Bだと思う。
私の場合、最近、部屋が狭くなって、やむなくデノン製の小型SPを使用しているので、トーンコントロールでバランスを補正しないとクラシック音楽等はまともに聴けないので、デノンのプリメインアンプからプリアウトの出力を300Bアンプにつないで聴いている。
やはりLPレコードを聴きたいもので、DL103RというDENON製カートリッジなので、自作の昇圧トランスを通して、デノンのプリメインのフォノイコライザーで増幅されてライン出力させている。
さすが、総て同一メーカー、デノンのカートリッジ、プリアンプ、SPシステムなので、バランスが採りやすく落ち着いた再生音である。
その中で、300B管球パワーアンプが縁の下の力持ちで音楽を支えている。今日は、LPレコードは、3枚位聴いた。雨の日なので、江藤俊哉さんのヴァイオリンによるブラームスのヴァイオリンソナタ1番等を最初に聴いた。
やはり、ヴァイオリンの再生音は、LPレコードに限る。1979年の録音だが、エルマンを彷彿とさせるガルネリウス・デルジェスの音が部屋一杯に広がる。
300Bでは、ブラームスのソナタは確かに説得力があって聞こえるが、フランス近代とかバッハ等は、どうだろうか。少し、疑問に残った。
その後、フルトヴェングラーのブライトクランク(疑似ステレオ)のベートーヴェンのシンフォニーやリストの交響詩レ・プレリュードを聴く。
フルトヴェングラーの命日が近づいている。
実に雄大、深遠な音場が広がる。ステレオよりもずっとステレオらしい。
その後、音源をCDに切り換えて色々と聞いた。エルネスト・アンセルメによるサンサーンスとフランクの交響曲。ノリントン指揮のモツレクやアベ・ベルム・コルプス、葬送行進曲、ムラビンスキー レニングラード交響楽団のショスターコビッチの交響曲第4番や第6番(戦後直ぐのモノラルでメロディア盤)を聴く。
CDの場合は、LPに比べてやはり、音の広がりが今ひとつ。案外にノリントンの演奏が300Bでは、メリハリ良く再生されていた。
このアンプを今後も大事に使用していこうと思っている。
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