モンセラートの赤い本2009/12/24 11:03

「14世紀以前のカタルーニャの音楽」スペイン古楽集成

仮面ライダーの「死に神博士」の故天野先生が、特に好まれていたシリーズがスペイン古楽集成である。

 LPのシリーズの方が、断然音が良いが、残念ながらこれはCDだ。

 カタルーニャ地方自体でスペイン文化圏とは異質なものを持っている上に、更に、14世紀以前の写本から復元された楽曲の演奏である。

 こうした「復元音楽」の権威、パニグアが実に得意に演奏している。この人の欠点は「作りすぎる」ということだが、この時代の世俗音楽は、大抵が即興演奏なので、作りすぎて当たり前という面もある。

 カタルーニャのクリスマス行事としては、今では、カガネーの「うんち人形」が有名であるが、何か土俗信仰とキリスト教、それも聖母信仰が癒着した民衆行事である。

 26日は、聖エステバンの日で祝日になる。とにかくお祭り、どんちゃん騒ぎである。

 このCDでは、「モンセラートの赤い本」14世紀の美麗な極彩色で飾られた聖母子伝に、楽譜が印刷されている。西洋音楽演奏の楽譜が発明されたのは、9世紀のイタリア(古代ギリシャとか他の国にも楽譜はもっと古くから存在する)であるので、歌詞とメロディーはとにかく復元することが出来る。

 但し、これだけでは、単調なので、古楽アンサンブルに打楽器や少年コーラスを加えた大がかりな演奏となっている。

 特に聴いていて不思議な感じがするのは、「聖なる星よ」のヴァルレー(舞曲)であり、単調な大太鼓の伴奏で少年達が聖歌を歌う雰囲気は、まさにクリスマスというか年の瀬という感じがある。