転移病巣を消滅させても根本的な治療効果は得られず2010/08/20 23:37

 今年で仕事先のある特約店の社長さんが亡くなられてから3回忌に当たる。

 もう、90歳近いお年だったが、肝臓ガンで亡くなられた。

 息子さんは、今年で還暦なので、僕が先代の社長さんとおつきあい始めた頃には、社長さんが60歳だったので、もう20年以上の歳月が経過したことになる。

 亡くなられた社長さんは、すごく辛抱強い人で、最初に大腸ガンの手術を、亡くなられる10年位前にされた時も、肝臓に転移して、末期ガンの状態になった時も、一言も弱音を吐かなかった。

 きっと、つらく痛かったに違いないが、表情にも出されなかった。さすがに最後にお目にかかった時は、眠ダルそうにされていたが、話のつじつまがあっていた。

 末期ガンの治療を受けられる時、抗ガン剤による治療、重量子線治療、温存療法と3つの方法があったが、息子さんが重量子線治療をお医者さんにお願いされた。

 アフラックで保険特約が出来ている位の最先端の治療で、莫大な費用がかかった筈だが、全てのお金をつぎ込まれたようだ。

 「親父さんが抗ガン剤の副作用で苦しむのは、みてはおれない。少しでも直る可能性がある方法にかけざるを得ない。」ということだったが、今になって少し疑問が感じる。

 重量子線照射は、スポット的にガン細胞をやっつける治療なので、原発病巣で、手術が既に困難な時には効果があるが、このケースでは、先に大腸ガン、食道、胃、肝臓に転移している段階で、肝臓部分の病巣を治療するのに用いられた様で、転移病巣の治療・縮小には一定の効果が発揮したが、更に胆管等にも転移が拡散して、一般症状が悪化して亡くなられた。

 結果的にみられば、転移病巣を消滅させても根本的な治療効果は得られず、この場合は、患者さんの意志(何分にもご高齢なので)もあるが、抗ガン剤の適用ケースだと思う。

 最近の抗ガン剤の中には、副作用が軽いものがある。重量子線治療が患者への負担が柔らかいかと言えば、周囲の細胞組織、特に骨組織がボロボロになる等、患者にとっては、きつい治療である。

 施術側としては、少しでも治験件数を稼ぎたいので、お金さえあれば、先端治療法を進めたがるが、セカンドオピニオンを含めて、十分な考慮がなされたとは言い難い。

 ガン治療は、特に先端医療ほど、医療側は、冒険をしたがるが、それが、現在の患者さんに本当にふさわしいか、十分に検討しなければ駄目だと思う。

 先端医療流行だが、患者さんの残された命にとって何が大事なのか、考えさせられた。

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